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【誌上テーマ別サロン】第106回 <基礎講座>   「地域電気店」の生き残り戦略 ―「中小企業経営学入門」(106)―
【誌上テーマ別サロン】第106回
<基礎講座>
  「地域電気店」の生き残り戦略
―「中小企業経営学入門」(106)―
1 電気小売店業界の盛衰
・電気製品の販売を取り扱う業界変遷を見ると、まちの小売店、商店街にある電気屋さん、「地域電気店」が大きな力を発揮していた時代があった。大型の量販店が台頭し、食料品だけでなく、衣料や電気製品も陳列されることで、「地域電気店」の環境は変わったが、電気製品専門の大型店(家電量販店)が全国的に展開されるために、「地域電気店」はさらにきびしい経営を迫られ、衰退してきた。
・くわえて、若い世代はネット販売をも利用するようになり、リアル店舗で電気製品を購入する機会が極端に少なくなっている。このようななかで、多くの「地域電気店」は、その姿を消してきた。
2 (株)トツカ家電の事例
・横浜市戸塚区を中心に地域密着で活躍しているトツカ家電は、このようなきびしいなかでも健闘している事例となる。阪神タイガースの監督であった金本に似ている社長は、地元では熱烈なタイガース・ファンで知られている。“地域密着”と書いたボールをもつユニフォーム姿の社長は、金本そのものである。
・どんなことでも社長は明るく、ていねいに顧客に接し、コミュニケーションしてくれるので、なにかあったら、やっぱり頼りになれるのは、地域電気店であることを再確認させてくれる。家電量販店やネット販売には、メリットがあるから顧客が集まるのであるが、「地域電気店」には、顧客の居住環境などにあわせた製品の提供・設置や関連した各種ケアをしっかり行ってもらえるというメリットがある。
・心からの「うれしい」とか「ありがたい」という顧客の笑顔をもらえるのは、「地域電気店」が一番多いのであろう。トツカ家電の社長は、仕事を行っていて、このような顧客の笑顔を見るときが、地域電気店でよかったことを実感できるときであるという。
・家電量販店では、製品が売れることで仕事の喜びを感じているが、顧客の心からの感謝をどのくらい感じているのであろうか。顧客との密接なコミュニケーションこそは、「地域電気店」の最大の強みである。そして、これをいっそう生かすことこそが、「地域電気店」の生きる道である。
3 量販店のメリットとの結合も!
・トツカ家電は全国のまちの身近な電気店約900社が加盟している「アトム電器チェーン」を参加している。全メーカーの製品を取り扱うので、品ぞろえが豊富で、価格も安くなっており、これによって顧客は量販店のメリットも享受している。
               (2019.2.15稿)
          永続的成長企業ネットワーク 理事
          横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
Information
  • 開催日2022年1月5日
  • 場所
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