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【誌上テーマ別サロン】第102回 <基礎講座>   小売食品店のサバイバル戦略(4) ―「中小企業経営学入門」(102)―
【誌上テーマ別サロン】第102回
<基礎講座>
  小売食品店のサバイバル戦略(4)
―「中小企業経営学入門」(102)―
1 コミュニケーション能力の向上
・食品店は、対面販売を特徴としているから、消費者とのコミュニケーション能力を良くしていくことが大切である。無愛想な接客であるならば消費者はコミュニケーションを必要としないスーパーマーケットやコンビニでの購入を優先してしまうであろう。
・小売業としての食品店は、地域に密着し、地元の消費者を支えられて経営をつづけてきたことを自覚し、いっそうのコミュニケーション能力の向上を行うことがもとめられている。他業種の進出によって食品店は確かに減少したり、衰退してしまったが、この「原点」をもう一度確認すべきである。そして、この原点に立ちもどると、新たな戦略が必ずでてこよう。
2 自店舗での小企画イベントを!
・商店街が比較的活発に活動を行い、イベントなどを企画・実施している組合や団体が見られる。それによって来街者が実際のところ増えている。しかし、「来街者」が増えても、それが「来店者」にならないことも多い。イベントには参加するが、店舗に入ってもらえないのであれば、イベントに本当に効果があったか、疑わしいことになる。
・来街者が来店者になり、商店街の各店舗で実際に物品を買いこむ「購入者」になれば、イベントは効果をあげたことになるが、必ずしもこのようになる場合だけではない。このような場合、商店街の行うイベントにあまり期待をかけることができない。
・そこで、むしろできるならば、自力で自分の店舗でイベントを開催し、来店者や購入者を増やす工夫や努力が必要になる。ポイント・カードをつくるだけでなく、食品店の場合、小さなイベントを行うことができる。
・利用者の混雑する時間帯はさけて、陳列している食料店を直接つくっている生産者や関連業者に商品の説明をしてもらったり、商品をプレゼントするクジ引きをするとか、あるいは調理の実演をみせて試食してもらうとか、周辺の飲食店や地元のミュージシャンとコラボしたミニ音楽会を行うとか、地元の小学校生にセールスのインターンシップをしてもらうとか、おそらく消費者が楽しくなるようないろいろな小企画のイベントを行うことができるであろう。
・要は、自力でもできそうなことを見つけだし、それを実行することであり、意欲と熱意があれば、協力者は必ずあらわれるものである。
3 消費者に楽しさを与える!
・食生活を支える食品店の役割は大きく、この役割を果たしていかなければならない。現状では買物に困難を感じている人びとへの救済が緊急の課題とされているが、食品店が本当に生き抜いていくためには、交流しあうことで消費者を楽しくするようにすることが大切である。
               (2018.10.1稿)
           永続的成長企業ネットワーク 理事
           横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年11月5日
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