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【誌上テーマ別サロン】第101回 <基礎講座>   小売食品店のサバイバル戦略(3) ―「中小企業経営学入門」(101)―
【誌上テーマ別サロン】第101回
<基礎講座>
  小売食品店のサバイバル戦略(3)
―「中小企業経営学入門」(101)―
1 求められる生活提案力
・低価格を中心とした価格戦略や品質重視の戦略が重要であるとしたが、これだけでは十分ではない。大型のスーパーマーケットのような品揃えはできないが、小売店における対面販売のメリットはきわめて大きく、これを活用することが大切である。店舗の奥で消費者を待つのではなく、積極的に店頭にたって、消費者にじかに語りかけ、コミュニケーションすることが大切である。
・たとえば、入荷したばかりの商品について、産地や生産者のプロファイル、調理方法、賞味期間などを説明し、どうすればおいしく食べられ、消費者の食生活が豊かになるかを提案することが求められる。そして、商品を大切に取り扱い、消費者に手渡すときには、お金の受領だけでなく、商品をもう一度点検しなければならない。商品をていねいに取り扱わないスタッフがいるようでは消費者の支持や信用を得ることができない。
2 情報収集力の向上
・生活提案ができるようになるためには、食料品について素材だけでなく、調理方法を含めた情報や知識を十分にもつ努力を行うことがもとめられる。学習意欲と好奇心のような気持ちをもって情報収集力を高めることが大切になる。食品店は、これによって消費者に提供する食料品をどのように準備し、店舗に陳列するかを決めることができる。
・もっとも、この決定は、他方で消費者行動によっても制約されている。すでに述べたように、「若い消費者」の意義行動に関心を払わなければならない。若い人たちが現在なにを求めているかを知ることで、生活提案ができる準備が可能になるから、それについての情報を収集し整理することが必要になる。アンテナを張って、若い人びとの関心や欲求を知り、なにを行うべきかを決めなければならない。
・いうまでもないが、どの業種においても、まんぜんとしてこれまでどおりのビジネスをつづけられる時代は、とっくに昔の話になってしまった。しっかりと情報を把握し、自社のビジョンを達成するためには、どうすればよいのかを決めなければ、将来の展望はない。
・食品店は、食という生活分野のうち、もっともベースになる分野にかかわっており、どんな状況にあっても不可欠なビジネスであり、やり様によってはどうにでもやっていけるのである。そこで、決して悲観的になることはない。
3 考え方の転換を!
・人間は、食べていかなければならないから、どんな状況にあっても不可欠なビジネスであり、やり様によってはどうにでもやっていけると考えれば、小売業としての食品店はそこそこ経営をつづけることができるであろう。食の部分を担っているだけに、生活者としての知恵を豊富に持っているから、自信をもって消費者に接していけば、生活提案力を十分に発揮できるのである。
               (2018.10.1稿)
           永続的成長企業ネットワーク 理事
           横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年10月20日
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