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【誌上テーマ別サロン】第100回 <基礎講座>   小売食品店のサバイバル戦略(2) ―「中小企業経営学入門」(100)―
【誌上テーマ別サロン】第100回
<基礎講座>
  小売食品店のサバイバル戦略(2)
―「中小企業経営学入門」(100)―
1 みずからを変える勇気をもつこと!
・大きな発展のための「活路」ではなく、とりあえず現状維持するぐらいの知恵をつくりだすことが大切であるが、そのうえでそれを実際に実行に移すことである。それは、これまでの経営を変えることであり、勇気が必要である。みずからを変えることは大変であり、決意とそのための勇気をもたなければならない。
・なにもしなければ衰退であり、いたしかたないが「死」=閉店が待っている。もちろん、新たな知恵をいかして前進しても、成功する保障はない。成功が保障されているわけでないから、2者のうちのいずれをとるにしても、きびしい選択であることには変わりない。
・しかし、「座して死す」もありだが、“ひとすじの光”が見えるようであれば、それにかけてチャレンジするのも、経営する人間の本来の姿であろう。経営とは、前向きの姿勢であり、苦しいなかでもつづけていくことであるから。
・そこで、以下では、食品店のサバイバル戦略の方向性をいくつか考えていこう。
2 「価格競争力」をつける!
・スーパーマーケットなどの他業態に対抗するために、行われてきたサバイバル戦略に、低価格を採用する戦略がある。スーパーマーケットは思ったほど価格は安くないために、低価格で利用者を獲得している八百屋が見られる。“安い”ことが評判になっており、それが若い消費者にも強力にアピールしている。このような戦略の小売業は、強力な商品調達力をもっており、おそらく“薄利多売”のビジネスで生き抜いていることであろう。
・スーパーマーケットなども、これに対抗して、週1、2回程度で安売りをしているが、このような食品店は“エブリーデイ・ロープライス”(毎日、安い)を実施している。
3 「品質重視」を目だまに!
・安いことは、重要な戦略になるが、現代の消費者は食料品には衛生的で安全性のあるものを求めている。それだけでなく、味のいいもの、みばえのいいものを求める傾向もある。そのような「健康志向」であったり、「グルメ志向」の消費者には、低価格だけでは売れないことになる。むしろ、このような場合、クオリティ(品質)重視になるから、スーパーマーケットなどよりも高価格にならざるをえない。そして、“いいもの”を陳列している果物屋の商品は、明らかに高いが、それは自家消費だけでなく、プレゼント用のウエイトが高いことにもよっている。
4 どっちの戦略をとるのか
・以上のふたつの戦略をうち、どちらを選択するかについては、いろいろな事情を勘案しなければならないが、店舗が立地している地域の消費者の関心に対応する戦略をとることになる。低価格を求めるのがメインの顧客である場合もあるし、品質重視を求める人びとが多い場合もあるし、さらに両者が並存している場合もあるだろう。いずれにせよ、地域の特性と自社の企業理念のバランスをとりながら、戦略の選択を行っていくことになる。
               (2018.9.28稿)
           永続的成長企業ネットワーク 理事
           横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
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  • 開催日2021年10月5日
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