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【誌上テーマ別サロン】(第1回)

【誌上テーマ別サロン】(第1回)
<基礎講座>

経営を実感できる場としてのスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(1)

1 スモール・ビジネスの“いいところ”をさがす
小さな企業(スモール・ビジネス)については、弱点のみが強調されてきたと感じている。
“小さい”ということから、“弱い”、“不安定”、“無名”などのイメージをもたれてきた。それらは、たしかにそうであるかもしれない。これに対して、大企業(ビック・ビジネス)は“大きい”ということから、“強く”、“安定している”、“有名”などと考えられ、学生も就職するならば、大企業ということになってきた。
しかし、小さな企業には“いいところ”が本当にないのであろうか。企業経営のミクロ分析―顕微鏡的な観察―を得意としてきた経営学も、大企業についてはすぐれた成果をあげてきたものの、小さな企業の分析では限界をもってきたと反省している。

2 経営を実感できること!
小さな企業の“いいところ”は、企業経営の全体、つまり企業が行っている活動の方向性や内容、さらには成果が目に見えることである。大企業では企業経営の全体を見ることができず、自分が行っている周辺の部分しか見えないのに対して、小さな企業は全体(トータル)を見ることができるのである。それは経営が見えるという「可視性」の度合いが高いということである。
この可視性とは、別の言葉でいうと、経営者だけでなく、従業員(オペレーター)も自社の企業経営の現実を「実感」できることを意味している。この実感はいいことだけでなく、悪いこともある。活動がうまくいき、いい業績に結びついているときは、うれしくなるが、努力しても成果があがらず、意気が消沈してしまうこともある。しかし、この実感は経営者であれ、従業員であれ働く人びとにとって非常に大切なものであると思っている。そして、この実感は大企業よりも小さな企業のほうが感じられるものなのである。

3 つぎの活動の源泉となる「実感」
この実感は、つぎになにをしなければならないかという活動の方向性や内容を働く人びとに考えさせ、具体化させる源になる。努力しても、成果があがらなければ、意気消沈してしまうが、しかしあわせて、成果をあげるためには、どのように努力しなければならないかを考えさせることになる。成果をあげなければ企業経営が厳しくなるからである。
そこで、実感は、つぎの活動の源泉になるわけである。しかも、この実感からつぎの活動の過程は、いうまでもなく働く人びとにとっては「自己成長の場」でもある。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
[2014.11.17]

Information
  • 開催日2014年11月17日
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