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【誌上テーマ別サロン】(第3回)

【誌上テーマ別サロン】(第3回)
<基礎講座>
人を育てる場としてのスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(3)

1 人材育成に有用なスモール・ビジネス
・スモール・ビジネスの“いいところ”は、人を育てる「人材育成」の場であるということにもある。小さな企業は必要とされる人材がそろっていないことが一般的であるために、いろいろな仕事を行わなければならない。大企業であれば、人材がそろっており、欠員がでても補充が可能であるが、小さな企業は補充が困難なために、いやでも他の仕事を担当せざるをえない。企業の人材は、経験を積むことで育てられる部分が大きいので、いろいろな仕事の経験は「人材育成」につながることになる。そこで、スモール・ビジネスでは、意図しようとしまいと人が育てられるようになっている。

2 “なんでも屋”的な仕事の分担
・大企業では組織の構造がしっかりつくられており、仕事の分担がかなり明確に決められている。いわゆる分業とか、専門化(仕事の分類や細分化)の考え方がとられ、これによって組織を合理的に動かそうとしている。
・これに対して、スモール・ビジネスにおいては組織の構造をしっかりつくるよりは雇用されている人間の適性や経験などを考慮して仕事の内容やポジションが決められことが一般的である。そして、特定の仕事に専念するよりも、どのような仕事でもこなせる人材になることが期待されている。要するに、大企業とはちがって、“なんでも屋”的な仕事の分担がもとめられているのが、スモール・ビジネスなのである。

3 OFF-JTよりもOJT重視のスモール・ビジネス
・人材育成の方法には、OFF-JT(Off the Job Training)とOJT(On the Job Training)がある。前者は「職場外訓練」とか、座学・集合研修といわれ、教室・研修施設を使って行われるのに対して、後者は「職場内訓練」であり、上司や先輩によって行われる「仕事の場での、仕事を通じての、仕事の学習」であり、具体的な仕事の遂行にかかわる、きわめて経験にもとづく実践的な方法である。大企業はこの両者を併用しているが、スモール・ビジネスではOJTのほうが重視されてきたかもしれない。現代は変化の時代なので、今後は時代にとり残されないように、スモール・ビジネスでもOFF-JTをうまく使用していくことがもとめられている。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
[2015.1.15]

Information
  • 開催日2014年1月15日
  • 場所
  • 時間
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