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【誌上テーマ別サロン】第13回 管理階層の3区分説があてはまらないスモール・ビジネス

【誌上テーマ別サロン】第13回
<基礎講座>
管理階層の3区分説があてはまらないスモール・ビジネス
―「中小企業経営学入門」(13)

1 「管理階層の3区分説」の意味
経営学の教科書をみると、経営という仕事は企業組織において経営者や管理者が占めているポジションの高さや低さによって、主に3つの階層に区分されるという。最上位にいるのがトップ・マネジメントであり、社長、取締役などの経営者陣である。このトップ・マネジメントの下に、ミドル・マネジメントが位置している。代表的なポジションとして、部長や課長などがある。そして、この下にロワー・マネジメントがいる。係長、職長、グループ・リーダーといった職名がこの典型となる。このロワー・マネジメントは従業員(オペレーター)と接触して仕事をしている。
このようにして、いわゆるピラミッド構造の組織がつくられている。しかしながら、このような構造からなる組織は、企業でいえばかなり従業員規模が大きい。

2 2階層制程度がスモール・ビジネスの典型か
スモール・ビジネスには、この3区分説はあてはまらないと考えてよい。1人企業は別にして、数名の従業員を雇用して仕事をしてもらうケースを考えてみると、社長の下に従業員が直接コンタクトをとっており、まさに1階層になっている。問題なのは、従業員を増員せざるをえなくなり、社長が直接に監督できなくなり、管理者を配置して、間接的に従業員をコントロールするような状況である。この直接にコントロールできなくなる限界を「統制の範囲」(スパン・オブ・コントロール)というが、この限界を克服する方策が管理者の配置である。
この管理者の配置によって、管理階層は2つに区分されることになる。そして、スモール・ビジネスが規模をさらに拡大させ、大規模化してくると、管理者はミドル・マネジメントとロワー・マネジメントに分離されていくのである。

3 形式的な3階層制
規模拡大のなかで、3階層制の構造を採用しているスモール・ビジネスもみられている。しかし、それは形式的であって、実質的でない場合もある。取締役兼部長、部長兼課長といった、異なるポジションの職位を兼任することも実際には存在している。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
斎藤毅憲
[2015.10.8]

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  • 開催日2015年10月8日
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