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【訪問型サロン】(第5回) <Yokohama Excellent Company (YEC) 第5回> 『㈱大川印刷の大川哲郎社長に聞く』(その2)/3回連載

 

【訪問型サロン】(第5回)
<Yokohama Excellent Company (YEC) 第5回>
『㈱大川印刷の大川哲郎社長に聞く』(その2)/3回連載

1 日 時 2018年7月5日
2 場 所 ㈱大川印刷横浜営業所HEAD OFFICE FACTORY
3 聞き手 永続的成長企業ネットワーク代表理事 吉田正博
々          理事 斎藤毅憲(文責)
4 内 容 以下の通り((その1)の続き)

・多様な地域貢献の展開  社長の講演活動、各種イベントへの参加・協力、インターンシップ(外国人を含む)や工場見学のうけいれ、など、のほか、注目すべきプロジェクトが同社では実施されている。
・その事例は、日本語のほか、中国語、韓国語、英語の4か国語の「お薬手帳」の制作である。これは、共生のまちづくりネットワークよこはま、外国人専門の不動産会社・ジャパンハウジングの3者でつくる「多言語版おくすり手帳プロジェクト」によるもので、約20万弱いるという神奈川県内の外国人のために制作・販売している。そして、この手帳は、インターンシップ生の大学生のアイデアから発しているという。そして、この手帳が普及・定着し、外国人のための健康増進に役立つことが期待される。
・「横浜ひとまち百景」も興味深い。横浜の身近な風景のイラストにして、そのイラストを絵はがき、カレンダー、便せんなどにして、横浜の紹介や地域の活性化に寄与している。これは横浜の魅力をアピールし、発信できるものと期待している。
・また、年2回同社の恒例イベントになっているのが、湘南国際村での植樹・育樹祭への参加である。資源としての森林の保護は、同社にとって使命であることはいうまでもないが、従業員はこの活動にイキイキとした顔でかかわっているという。
・いずれにしても、同社の地域貢献はこれ以外にもきわめて多彩に展開されており、関心のおありの方は、同社のHPなどを見ていただきたい。今年に入っても「日本経済新聞」(3月6日)を見ると、同社が、ソーラーフロンティア(東京都港区)が太陽光パネルで発電した電力を購入したことが報じられている。そして、「日刊工業新聞」(3月27日)は、2015年の国連サミットで採択されたSDGS(持続可能な開発目標)にもとづく経営の模索と展開を同社が行っているとしている。このSDGSについては、この後に述べることにする。

・ISO26000、SDGSによるCSRの展開  このような大川印刷のCSRの展開をうかがっているなかで、同社のCSRが本物であることは、ISOの26000(社会的責任のガイドライン)とSDGSにもとづいて自社の状況を分析し、具体的に責任の範囲と目標値を設定し、その達成にむかって活動を行っていることでわかった。
・「CSR」という言葉は、顧客側からみるとボランティアで行われているというイメージがあり、その後に登場した「CSV」(共有価値の創造)は、従業員の理解を得るには困難であり、CSRの実践のためには、もう少し明確な枠組が必要であると社長は感じていたようである。
・2017年に同社はCSR新中期計画(2020年まで)を発表している。それは、ISOのCSR規格である「ISO26000」をガイドにして作成されており、ガバナンス、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者保護、コミュニティへの参画の7つの分野で目標を設定し、実現にむけて取りくむ姿勢を示している。そのなかで最終的には、①社内使用電力の再生可能エネルギーへの100%切りかえ、②SR調達の徹底、③本社工場におけるゼロエミッション(廃棄物ゼロ化)の達成、を目ざすという。
・そして、2018年度からSDGSをガイドラインにしたいということで、社内に7つのプロジェクトチームを発足させて、目標設定の活動を展開しはじめている。社長によると、SDGSによると課題が明確になるとともに、顧客や連携先つまりステイクホルダーとの共感(シンパシー)も得られやすいという。17項目からなるSDGSのうち、①エネルギーをみんなに、そしてクリーンに、②働きがいも経済成長も、③つくる責任、つかう責任、④陸の豊かさを守ろう、という4つのテーマに関して前述したように7つのチームを稼働させている。
・SDGSを自社のCSRに本格的に組み入れようとする姿には心から敬服したいと思うし、これにより同社のCSRは、いっそう進化するものと評価している。同社が横浜型地域貢献企業のプレミアム表彰をうけるのも、ごく当然といえるであろう。

・人財育成の重視  このような先進的なCSR活動を展開するために、同社は人財育成を大切にしている。定型的な教育プログラムは採用せずに、約40名のスタッフが全員参加できるCSR企業になるための委員会活動を全社横断的に展開している。自分たちでビジョンをつくり、品質向上策の提案、CSRの企画・運営、従業員満足の向上策の検討と活動を行っている。スタッフの人数が増加すると、CSRはどうしても一部のスタッフのものになってしまいがちであるが、そのような問題はまだ同社では発生していないといってよい。要するに、社長のCSRへの思いは、社内にしっかり浸透している。
・むしろ、いまのところ同社のスタッフは、自社がCSR企業であり、横浜だけでなく、全国的にみてもCSRのリーダー企業であるという思いや価値を共有しているように思われた。つまり、社長だけでなく、全スタッフは「CSRはおもしろい。楽しい」と思っているのであろう。
[以上 (その2)/3回連載]
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Information
  • 開催日2018年7月5日
  • 場所
  • 時間
  • 費用