【サロン特別講座】第9回 <企業永続のために絶対陥ってはいけない!> ―「倒産の事例研究」⑨―
【サロン特別講座】第9回
<企業永続のために絶対陥ってはいけない!>
―「倒産の事例研究」⑨―
「株式会社BALM」
(中古自動車小売 民事再生法の適用を申請 負債831億円)
・(株)BALM(旧:(株)ビッグモーター、資本金1億円、登記面=港区赤坂2-14-11、代表和泉伸二氏)は、12月2日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日弁済禁止の保全処分および監督命令を受けた。
・当社は、1975年(昭和50年)6月創業、78年(昭和53年)5月に法人改組された。創業地である山口県岩国市に中古車展示場を開設して以降、平成に入り他社の吸収合併や西日本地域を中心に多店舗展開を加速、直営および子会社運営の販売店を307店舗(2023年6月時点)にまで増加。
・積極的な出店に加え、印象的なテレビ、ラジオCMなどによって知名度を高めたほか、全メーカーの車両(中古車・新車)を取り扱うショップ型のトータルカーディーラーとして、中古車小売業としては国内最大手となっていた。
・グループ全体のスケールメリットを生かした仕入れ力と豊富な商品在庫を強みに年間販売台数は10万台にまで成長。販売から修理・メンテナンス、車検、買い取りまで車両サービス全般を手がけるワンストップサービスを強みとした地域密着型の営業を展開し、2022年9月期の年売上高は約3355億8100万円を計上していた。
・しかし2023年7月に、顧客から自動車の修理依頼を受けた際、従業員が故意に車両を傷つけるなど数年にわたって保険会社に対し修理代を水増し請求していたことが発覚。2023年9月期は年売上高約5398億4200万円を計上したものの、特別損失の計上などで約708億400万円の最終赤字となっていた。
・著しいコンプライアンス欠如を背景に創業社長や副社長の辞任、特別調査委員会による調査を含めた内部体制の強化を打ち出し再出発を試みたが、信用収縮と顧客離れに歯止めがかからず資金繰りが大幅に悪化。
・この間、本店移転や店舗の統廃合など経営合理化を進める一方、国土交通省の立ち入り検査による行政処分や、金融庁が同年11月30日付けで損害保険代理店としての登録を取り消すなど、金融機関から支援も得られないなかで自力での事業継続、再建が極めて困難な状況に陥っていた。
・こうしたなか、伊藤忠商事(株)と伊藤忠エネクス(株)、および(株)ジェイ・ウィル・パートナーズが再建支援に名乗りを上げ、2024年3月に事業再建に向けた契約を締結したことを発表。
・5月1日付で会社分割方式により当社グループの中古車販売事業を(株)ジェイ・ケイ・エイチ<現・(株)WECARS、TDB企業コード:832066210、東京都千代田区>に承継していた。
・その後、当社は債権者へ任意での弁済計画を策定していたが、合理的な期間内にこれを策定できず、自動車修理等にかかわる被害者などへの弁済も長期化する恐れがあることから、裁判所等の関与のもと早期の弁済計画策定を進めるべく、民事再生手続きを申請した。
・現時点で見込まれる負債総額は、最大で債権者約163名に対し約831億円。
[出所:帝国データバンク]
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- 開催日2024年12月5日
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