お役立ち情報詳細


<見学記>『Y校(横浜市立横浜商業高校)の起業プラン発表会――関東学院大学との高大連携事業に参加して――』

<見学記>
『Y校(横浜市立横浜商業高校)の起業プラン発表会
――関東学院大学との高大連携事業に参加して――』

・関東学院大学とY校の高大連携事業となったY校生の起業プランの発表会は2015年2月2日に行われた。今年もコメンテーター役を依頼されて、2年生の8グループのプランをみせてもらった。もちろん、高大連携ということで、関東学院大学のほうは経済学部の小山嚴也教授(副学長)のゼミナール生(4年生)がプランづくりをサポートしている。

・プログラムはY校の先生の進行で行われ、審査員は小山先生と日本政策金融公庫の南関東創業支援センター所長の黒武者潤次さん、それから私の3名であった。

・高校生たちの起業プランは実におもしろかった。プランのコンテンツの主な特徴は、大きくふたつに分類されると思っている。ひとつは高校生の身近な生活にかかわるもので、休息もとれる「自習カフェ」、ひとりでも利用できる「1人カラオケ」、高校への中食などの移動販売車などが提案されていた。もうひとつは、社会の変化を意識したもので、とくに環境問題への対応が前面にでていた。鉛筆は一本すべてが使用されずに、大体3分の1ぐらいは使われず、捨てられてしまうという。そして、子どもが少なくなっており、廃校が多くなるが、この廃校を高齢者のためにビジネスとして使えないかという。また、急な雨で困っている人たちに貸しガサをする、などの事業が提案されている。

・前者は高校生たちが自分の生活を豊かにしようとする起業である。これに対して、後者は鉛筆の残り、使われなくなった学校、忘れ物のカサや家にたくさんある雨カサなどといった捨てられそうな資源を再活用しようとするものである。そして、これらのプランには、“社会起業家”的なイメージとダブルところがみられた。また、“勿体(もったい)ない”思想が若い人びとにもあることがわかり、感銘をうけたし、日本の社会の健全性も感じることができた。

・社会経験の少ない高校生のつくるプランなので、こまかな点では、いろいろな問題はある。しかし、おもしろい発想の連続の発表会であった。2年生なので、もう一年かけると、みがきのかかったプランになると思ったし、ものによってはパイロット的に実施してもよいのではないかという印象をもった。そして、高校生のプランづくりを支えた大学生たちは、この活動を通じて、またひとまわり大きく成長したと思っている。教えることで、確実に人間は育つのである。

         横浜市立大学名誉教授・関東学院大学元教授
永続的成長企業ネットワーク理事 斎藤毅憲
[2015.3.5]