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<マイ・オピニオン>『郷里の商店街に思う(2)』

<マイ・オピニオン>『郷里の商店街に思う(2)』

これも8月に帰省したときの話である。メイン・ストリートの一角に「まちづくりの会社」をつくるというポスターが掲示され、PR用のチラシも置かれていた。なんとかしなければならないと思う人間があらわれたのかと思うと、うれしい気持になった。そして、是非とも成功してほしいとも思った。
チラシには、主にふたつのことが書かれていた。4、5階建てのビルを建てて、そこにいろいろものを入れて、にぎやかなまちづくりの拠点にしたいという。そして、どのようなものを入れればいいかを一般市民に提案することをもとめ、優秀作品には賞を授与することになっている。また、このような提案とあわせて、趣旨に賛同する人間に対して出資のお願いもしている。自己資金はあるとしても、協力をあおぐのは当然かと思った。
しかし、若干、心配になってしまった。提案を行ってもらうのはよいとしても、しっかりとした提案がないのに、出資をする人間がはたしてどのくらい現われるのかと思ったのである。お金を集めるのであれば、目的やコンセプトをはっきりさせ、どのようなビルにし、どのような成果(売上高、利益)をだし、出資に対してどのようなリターン(報酬)を支払うかをはっきりさせなければならない。そうでなければ出資をするのは、とてもむずかしいであろう。
私自身、起業プランなどの審査に立ちあってきたが、提案があいまいであったり、決まっていないとすれば、評価を行うことはできない。心配しながら、横浜に戻ってきた次第であるが、なんとかうまくいってほしい気持ちで一杯である。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲
[2014.9.8]