<マイ・オピニオン:[帰省日記]>
『郷里の商店街に思う(11)』
・昨年11月末以降、はじめの帰省となった。寒い時期に帰るのは一寸つらく5月ぶりである。水道せんを業者に開けてもらい、家の内を掃除し、外からの空気を入れる。4月25日は晴れで、さすがに暖かい。家の掃除が終わると、外に出て、小さな庭の手入れをする。水仙が満開で、チューリップも咲きはじめている。終わって、一休みしてから、昨年6月に閉店になり、今年2月に再生した、背の高いソフトクリームをお箸で食べさせる百貨店の昭和レトロの食堂を見にいく。
・かつてのメイン・ストリートにあるこの百貨店の食堂が閉店したあと、私の卒業した高校の在学生(女性6名、男性1名)によって熱心な復活署名運動が行われたことがテレビで全国的に報道されている。リノベーションスクールで知られた家守舎の運動が私の郷里でもスタートしていたが、家守舎の若い経営者(小友康広さんを中心とする)がこれをうけて復活の活動を展開し、2月に再生させたのである。
・6階の食堂がリスタートし、前と同じように利用者が多いように見えた。もっとも、2階から5階までには店舗はなく、1階がマーケットになっている。整体、ファッション、名産品の販売、喫茶、キッズコーナーなどが入っている。ゆったりとしたつくりで、フリーにくつろげる空間になっている。食堂とはちがった、すてきなスペースづくりを行っている。食堂のメイン料理を描いた絵ハガキを購入して、恒例のワンコソバ屋で夕食をとった。
・26日はヒドイ雨であるが、実家近くのコンビニのほかに、前にも書いた国道4号線沿いのロードサイド店のショッピング・モールに出向く。メインの食料品のスーパーは、朝10時であるが、大混雑である。駐車場には100台近い自家用車があり、10列のレジには行列ができている。よく見たら、「百均ジャンボ市」というキャンペーンの日であることがわかった。まちなかには人がいないが、このような光景に出合うと、消費者が確実にいることを実感させられる。周辺を散歩するが、桜が満開で、どこを見ても美しい。
・夜は親せきの夫婦と比較的に近い洋食屋に出かける。市を北から南へ向かう道路があり、“スイーツ通り”の南端にある店舗である。スイーツ通りには、約3キロの道路沿いにスイーツ店が8店舗あり、その一番南にあるのが、この店は、店名が示すように「ハイカラヤ」である。味はいいし、地元産のワインを飲んだ。別の場所に、スイーツの工場があって、スイーツも食べられるようになっている。車を使って若い女性たちが入っている。昔はなかったようなこのような店舗が結構市内に増えているが、車のない身には遠征できないことを今回も実感させられた。
・3日目の27日は、市役所に行き、観光課のスタッフと意見交換を行った。昭和レトロの食堂の復活や外国人観光客の増加策などがテーマとなった。外国人の東北への誘致には、いろいろ知恵をしぼりはじめていることがわかる。
「雨にも負けず」を書いた人の名前をつけた“○○○最中”でお土産を買う。若い女性に経営者の代がわりをしたらしく、店舗の内部は改装され、商品の感じも少し変わっている。昔ながらの感じはなく、洗練されている。いい感じになったと思った。この後、昭和レトロの食堂のあるビル1階のマーケットに出向き、コーヒーを注文する。結構、人は入っているが、ゆったりしているので、市役所でもらってきた資料をゆっくり読めるのがうれしい。
・夜は家の近くのロードサイド店の和食レストラン(チェーン店)に行った。かなり前に行ったことがあるが、あまりおいしくなくて、それ以降行ったことがなかった。前日の店と比較してみようとの思いもあって久しぶりに入ってみた。メニューを見ると、ロー・プライス(低価格)のものがほとんどである。この価格ではおいしいものはないだろうと思ったので、一番安心なのはラーメンであると判断した。夕方も早目であったのであろうが、客は少ない。接客は1人であり、座席は100はあるだろうと思った。おそらく夜も7時以降は客が増えてくるのであろう。
・今回の帰省では変わらないように見えても、郷里のまちや商店街もずいぶん変わっていることに気づいた。横浜に帰る日の28日の午前中にロードサイド店のスーパーに出向いた。26日のように客は入っていないが、よく見ると「スピードセルフレジ」になっている。レジを通ってから自分で現金をマシンに入れるものになっている。セルフレジは多くのスーパーに入っているが、ここでもそれを採用している。変わるいまを感じた。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲