<マイ・オピニオン:[帰省日記]>
『郷里の商店街に思う(7)』
・例年と同じように、1月おくれのお盆で帰省した。この時期は、帰省する人間と観光客で新幹線は混雑している。下車した駅前のタクシー乗場で待つ車の台数も少なく、利用の多いことを思わせる。もっとも帰省を待つ人間と車の多さはきわだって目立っている。郷里も、この時期は人が集まってくるのである。
・お盆の行事は、そこそこ行っているのであろうが、簡素化というか、形がい化がすすんでいる。高齢化にくわえて、若者の地域外への流出で、それが急速に加速化しているようである。そして、若い世代のライフスタイルも確実に変化しており、お盆にかれらが自宅の庭でBBQパーティを楽しんでいる光景をあっちこっちで見ることができた。かれらには、伝統的なお盆料理は無縁のように思えた。
・16日の夕方に、まちではもっともメインストリートといわれた地域を歩いた。お盆休みの店舗もあり、閑散としている。自家用車などは通りすぎていくが、人の歩く姿はきわめて少ない。おそらく郊外部にあるショッピング・モールは、自家用車の人たちで一杯なのであろう。地方のまちの商業構造は、「線」で示される商店街中心のものから、「点」で示される郊外部のショッピング・モールに重点が完全に移行してしまったと考えざるをえない。商店街はショッピング・モールにとって、もはや競争すべきライバルではないのかもしれない。
・モールのライバルは、他のモールであり、モール間の競争が今後おそらくいっそう激化するのであろう。これに幹線道路上のロードサイド店、各地に立地しているコンビニエンス・ストアがくわわっての競争が予想される。
・帰省すると、必ずお世話になるおそば屋で夕食をとる。観光客などがワンコそばにチャレンジしている。食べている姿を見ていると楽しくなるとともに、なんとなく豊かな気持ちになった。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲
[2015.9.7]