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<マイ・オピニオン:[帰省日記]>『郷里の商店街に思う(4)』

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『郷里の商店街に思う(4)』

11月22日から24日までの連休期間に、郷里の岩手に帰省した。晩秋というよりも初冬の感じである。東北新幹線を降り、タクシーに乗って自宅に戻ったが、運転手さんは観光客が思っていたよりも多いといい、嬉しそうである。空家の郷里の自宅はだれもおらず、食べ物もないので、途中の郊外にあるショッピングモールに立ち寄る。午後2時半すぎであるが、広い駐車場には多くの自家車が見られる。かなりの集客があるのだろう。
家の掃除を終え、夕食は親せきの家で、馳走になる。衆議院の突然の解散が不評であることがわかる。震災の地は選挙に使う予算がほしいともいう。そして、地域の衰退などが話題にのぼる。
2日目、お寺に墓参に行き、午後は庭掃除と冬支度を行う。夜は帰省すると必ず行く、老舗の「わんこそば」店で一時を過ごす。店主の若い後継者によると、連休で観光客が多く、来客も増えているという。この店はメインストリートに近いが、メインストリートに八百屋ができたことを教えてくれた。町中のメインストリートやその周辺部には生鮮3品の店舗がなくなり、「買物難民」が出現していたが、これで町中の中高年者は少し助かることになると思った。
八百屋を開業したのは、九州出身で、私の郷里にある大学を今年卒業した「若者」であり、地元のメディアでも取り上げられていたようである。地域の活性化は、やはり現状を打破しようとするヨソ者や若者なのかと思った。そして、これにつづく人びとの登場とネットワークづくりを期待した。
3日目、自宅近くの国道沿いのショッピングモールを見る。朝からかなりの集客があり、駐車場も車であふれている。3日間の印象として、かつてのメインストリート中心の商業構造は、郊外のショッピングモールやロードサイド店中心のものに変わってきたことを実感させられた。商店街という「線」にかわってショッピングモールの「点」とロードサイド店のつらなりという「線」が台頭してきたのである。
この夜は、メインストリートに近いホテルに午後5時すぎに行き、レストランで食事をした。一時間ぐらいで、どのような来客があるかを見ていたが、観光客や若い男性は少ない。家族づれや中高年の女性が来客の中心であった。6時すぎに赤ちゃんづれの若い夫婦がきたのを見て帰宅した。北国の晩秋の夜は暗く、寒いが、レストランの席がほぼうまっていたので、少しうれしい気持ちであった。

永続的成長企業ネットワーク 理
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅
[2014.12.7]