お役立ち情報詳細


<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(3)]> 大型店等の商店街活動への貢献

<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(3)]>
大型店等の商店街活動への貢献

1 神奈川県議会における質問
・2015年12月県議会で、横浜市保土ヶ谷区選出の高橋栄一議員(自民党)が、「地域商業の活性化には、商店街と大型店等がたがいに連携し、共存共栄することが重要である。大型店等の商店街活動への参加・協力を促す取組みを考えているか」(2016年1月の県議会ニュース)を知事に問うている。
・これはもっともな質問である。大型店やナショナル・チェーンの小売業者は、地域の商店街にとっては、その存続を危険に追いこむ存在とみられてきた。そして、進出しても商店街活動に参加しないとか、協力しないということで批判の的にもなってきた。大型店等(大型店やナショナル・チェーン)はどうしても自社の利益を獲得することを重視してしまい、商店街への参加・協働には弱点があったのかもしれない。
・質問はこのことを意識して行われたのであろうが、黒岩裕治知事は以下のように回答している。「率先して商店街との連携を図った大型店等を表彰することを新たに検討する。また、商店街が大型店等との連携を進め、買い物客を呼び込む意欲的な取り組みを行う場合は、費用の一部を助成し、双方の連携を促進していく。」(前述の県議会ニュース)。

 2 「神奈川県商店街活性化条例」の定着を望む
・この質問をみるにつけても、平成20年4月から施行の神奈川県商店街活性化条例が実質的に機能していないことを感じざるをえない。それはきわめて残念なことである。
・4条からなるこの条例の第1条(目的)には「チェーン店、大型店をはじめ、すべての事業者がその事業を営む地域の商店街における活動に積極的に参加し、協力する機運を高めることにより商店街の活性化を図り」と述べている。そして、第4条(事業者の責務)では商店会に加入すること、商店街の活性化を図るための事業や地域貢献への積極的な参加と応分の寄与を行うことを求めている。
・要するに、この条例は大型店等の商店街活動への貢献を義務づけるものなのである。しかし、実際には形がい化しているので、このような質問が行われたのであろう。したがって、この条例の実質化を心から望んでいる。

3 地域密着を大型店等も実行せよ!
・小売等の競争はきびしく、おかれている環境の変化もはげしい。このようななかでは大型店等は、商店街活動に積極的になれないのかもしれない。しかし、商店街と役割分担をはかりつつ、地域密着に専念することには、双方にとってもメリットをもたらすものと思っている。商店街を圧迫し、崩壊させてきた大型店等が小売環境の変化のなかで自壊の道を進まないためにも、利用者の利便と商店街との関係をしっかりと見直すべきである。

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
斎藤毅憲
[2016.6.15]