<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(2)]>
ちょい呑みフェスティバルの実践者・小林剛輔さんのことをご存じですか
1 現在注目されている男とはこんな人間
・『朝日新聞』(2016年2月17日)の「ひと」に小林剛輔(文中、敬称略)は「ちょい呑みフェスティバル」の全国一斉開催を夢見る人間として、紹介されている。神奈川県藤沢市の老舗ラーメン店の3代目で、44歳と書かれている。
・湘南ふじさわ情報誌『ふじさわびと』(2015,Winter)によると、ラーメン店の名前は、藤沢市民ならよく知られている(株)古久家であることがわかる。そして、「年間90万人ものお客様にご利用いただき藤沢とともに68年。これからも美味しいラーメンを提供します」という。単純にいうと、藤沢市民が1人年間2回以上、古久家に行っていることになる。
2 小林がはじめた「ちょい呑みフェスティバル」
・2012年に藤沢市でスタートしたこのフェスタは、小林の呼びかけによるものであるが、3枚つづりのチケットを2,500円で利用者が購入して、商店街の飲食店をはしごするもので、それぞれの店がおすすめの酒1杯とおつまみ1品を楽しめるイベントである。3枚つづりであるから、3店舗をまわることができるわけである。商店街によっては「バル」とか「はしご酒」などといい、3枚でなく5枚つづりで3,500円前後というところもあるが、このスタートになったのが藤沢市であり、2015年の秋に同市で行われた第10回目のフェスタには、1回目の倍以上の約60店舗が参加している。
・参加された方もあると思うが、神奈川県内では相当数の商店街で開催されるようになり、東京や山梨にも拡がっている。この種のイベントには、補助金に支えられたまちづくりの催事やこの分野のプロが準備したものなどもあるが、小林がリーダーとなって飲食店主たちが主体的に動いたものとして注目されている。
・『朝日新聞』のコラム記事は、小林が全国一斉の「ちょい呑み」開催を目標にしていることを報じている。彼の夢はおそらく近い将来大きな拡がりになり、全国的に行われるようになることを期待している。
3 注目すべき飲食店どうしのコラボ!
・神奈川県内での動きをみると、商店街の若手経営者や後継者たちがリーダーシップをとり、飲食店どうしのコラボ(協働)を展開しているように思われる。活性化している商店街には、必ずといってよいほどリーダーが存在しているが、このイベントの開催にあたっても、そのことはいえる。
・従来から飲食店間の協力はあまり多くなかったが、「ちょい呑み」はそれを克服する試みとして注目されている。小林の夢がかない、全国的に拡がり、利用者の満足だけでなく、物販店との連携をも実現しつつ、商店街の活性化に貢献することを願っている。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授・放送大学客員教授
斎藤毅憲
[2016.5.15]