<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(15)]>
商店街が直面する課題とはなにか
1 全国的な景況感
・(株)アストジョイが行った中小企業庁からの受託調査(『平成27年度商店街実態調査報告書(概要版)』によると、「衰退している」商店街は約35%でもっとも多い。しかし、平成21年度の約44%、平成24年度の約43%から減少している。そして、「衰退の恐れがある」が
約32%であり、平成21、24年度の約33%から微減になっている。
・これに対して「繁栄している」は約2%、「繁栄の兆しがある」は約3%で、両者あわせると5%を少し超えている。平成21、24年度ともあわせて3%をこえる程度なので、若干増えている。また、環境条件を考えると健闘していると思われる「まあまあである(横ばいである)」は約25%であり、平成21、24年度の約18%から増加している。
・これによると、衰退が減少し、横ばいが増え、繁栄が少し増えている。つまり、若干ではあるが、衰退傾向の減少が見られている。また、横ばいの増加も悲観的にとらえる必要はないであろう。
2 直面している課題
・最大の課題は「経営者の高齢化による後継者問題」(約65%)である。これにつづくのが、「集客力が高い・話題性のある店舗・業種が少ない、またはない」(約41%)であり、第3グループは、「店舗等の老朽化」(約32%)、「商圏人口の減少」(約31%)である、
・さらに、第4グループは、「業種構成に問題がある」(約19%)、「駐車場・駐輪場の不足」(約18%)、「大型店との競合」(17%)、「空き店舗の増加」(約16%)などである。
・後継者問題が商店街の最大の課題とされている。次世代の人材の確保や育成は商店街の存続にかかわっている。また、魅力のある店舗や業種が不足していることは、来街者や来店者の増減に直接関係をもっている。したがって、これも商店街が衰退するかどうかにつながる商店街の内部要因である。
・店舗等の老朽化と地域の人口減については、前者が商店街の内部要因であるのに対して、後者は環境要因である。顧客にみすぼらしく感じさせることはできないので、リニューアルを行うだけでなく、安全性や清潔さなどにも配慮することが前者では大切である。要するに、快適なショッピングを可能にすることが求められる。後者については地方都市ではよく見られることであり、商店街の魅力向上による商圏の拡大などを図ることが期待される。
・さらに、業種の構成、空き店舗、駐車場・駐輪場の不足といった内部要因と大型店との競合という環境要因が示されている。
3 課題にむかって!
・マクロ的にみると、以上のような課題をわが国の商店街はかかえている。環境要因もあるが、内部要因のほうが山積している。商店街だけの力では解決がむずかしいものがあるが、それらにどのようにたちむかっていくのか。
・後継者問題が最大の課題である。そして、消費者に立ちむかう姿勢をどのくらい強くもてるかが、この内部要因の克服には必要となる。商店街のリーダーたちの指導力と個店店主の経営力がいまこそ問われている。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲