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<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(13)]> イベントの開催は商店街を活性化できるか

<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(13)]>
イベントの開催は商店街を活性化できるか

1 イベントの多様な開催
・商店街においては、いろいろなイベントが行われている。商店街がその能力をぞん分に発揮していた時期には、年末セールなどの売出しイベントは、いつもよりも多くの集客を得ていた。そして、このイベントは売上高の増加に貢献していた。
・商店街が元気を喪失するにつれて、商店街の活性化のためにアーケードやカラー舗道に代表されるハードの整備のほかに、各種のイベントが行われるようになってきた。客足が減りだし、そして廃業する店舗も出はじめと、それに危機感をいただき、対策がとられてきた。
・伝統的なイベントには、すでに述べた売出しセールのほか、朝市などがある。しかし、現在ではイベントの種類はまさに多様である。たとえば、子ども向けのイベントを行い、親子での集客増加を狙っているところもある。また、絵画や写真展を開催したり、大道芸や音楽のイベントで来街者を集めようとしている商店街もある。さらにチョイ呑みフェスタなど商店街どおしが協力してイベントを行い、回遊性をつくろうという動きも見られる。要するに、いろいろな工夫やアイデアを生かしてイベントを開催し、集客と売上高の増加につなげようとしている。

2 イベントの効果と問題点
・イベントの開催は、商店街にどのような効果をもたらしているのであろうか。明らかにいえることは、イベントが集客の増加をもたらすことである。ハードの整備が行われるだけでなく、イベントが行われることで、商店街への来街者は確実に増えることであろう。そして、魅力的なイベントであればあるほど、来街者は増え、集客増につながる。
・問題なのは、来街者のうちどのくらいの人びとが実際に店舗に入る「来店者」になりうるかである。さらにいえば、お店に入って、実際に買物行動を行うのはどのくらいいるのであろうか。ここに、イベントの問題点がある。
・要するに、イベントは集客を商店街にもたらすが、来店者の増加にどのくらい結びついているかという問題がある。それぞれの店舗の来街者へのアプローチがこれまでどおりであるとすれば、買物行動との結びつき効果はかなり限られたものになってしまうのではないかと。
・個店も努力を行い、工夫やアイデアを生かされないかぎり、せっかくの来街者が来店者に変わることはあまり期待できないのではないか。

3 来街者に向きあう姿勢を!
・イベントによる「来街」と「来店」を分離させることなく、これを結びつけていくためには、イベントの効果だけを過信せずに、このときにこそ来街者に向きあう姿勢を個店は明確に発揮すべきである。店から出て来街者に積極的にコミュニケーションし、自店の特徴と商品をアピールすることが大切なのである。

 

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斎藤毅憲