<マイ・オピニオン:[商店街よ!元気になーれ(11)]>
商店街の意味を考える
―横浜市商店街活性化条例をもとに―
1 横浜市における条例化
・横浜市にとっても商店街の活性化はスモール・ビジネス施策のひとつとして重要であり、平成27年4月から活性化条例が施行されている。この条例は12条からなっているが、第1条(目的)をみると、商店街がふたつの機能をもっていることを明示している。
・ひとつは、商店街が地域経済の活力の維持に果たしている機能であり、もうひとつは地域コミュニティーの核(コア)として遂行している機能である。要するに、よくいわれる地域経済と地域社会の発展に対する役割があるという。商店街は、経済とコミュニティーの2大機能をもっており、衰退するようになると、それぞれダメージをうけることになる。
2 商店街の意味
・横浜市の条例によると、商店街とは「小売業、飲食業、サービス業等が集積している地域」とされている。かつては小売業と飲食業が商店街のメインであったが、今日ではサービス業などの立地も多くなっている。産業構造の変化や経済のサービス業化は、商店街をみてもはっきり現れている。
3 商店街にとってのステイクホルダー
・商店街の活性化のために、商店街自体だけでなく、主要なステイクホルダー(利害関係集団)が果たすべき役割が、この条例にも盛りこまれている。
商店街には、小売業、飲食業、サービス業などの事業を営む「事業者」がおり、創意工夫を発揮すべきという。そして、商店街振興組合などの「商店会」は、商店街活動の中核をにない、具体的には
○a地域のにぎわいと交流の場づくり、
○b消費者へのサービス向上と防犯・防災活動などによる地域社会への貢献、
○c事業者の経営支援と商店会組織の強化活動を行うとされている。
・商店街連合会や商工会議所などは「関係団体」といい、活性化に貢献することが求められている。また、地域に疎遠な「大型店」には商店会の加入に努め、地域経済の持続的発展に貢献すべきとしている。さらに、ステイクホルダーとしての「市民」と「横浜市」の責務が述べられており、市の責務が大きいことがわかるが、市民については「商店街の活性化に関する事業に積極的に参加し、又は協力するように努める」というだけで、あまり具体的にはなっていない。商店街の活性化に市民は本当に役立ったことはないのであろうか。
・ステイクホルダーが商店街の活性化に役立つことは確かに重要であるが、活性化の主体はどこまでも事業者と商店会であることには変わりはない。ステイクホルダーは支援の主体であり、商店街をつくる事業者のがんばりが前提である。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斎藤毅憲
(2016.6.13執筆)
[2016.10.15掲載]