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<ニュース>山中竹春・横浜市長 新年インタビュー 「展望2022 トップに聞く」 「脱炭素化社会へ企業と連携」  2022年1月4日(web)  1月7日(朝刊紙面)
<ニュース>山中竹春・横浜市長 新年インタビュー 「展望2022 トップに聞く」
「脱炭素化社会へ企業と連携」  2022年1月4日(web)  1月7日(朝刊紙面)
―IRに代わる経済振興策は―
「市内経済の活性化には、総合力を上げる必要がある」
「子育て・教育や医療、介護、福祉の充実は生産年齢人口の確保につながる」
「企業誘致やオープンイノベーションの推進も重要だ」
「観光MICE戦略は10年後の姿を見据えて策定しようとしており、山下ふ頭再開発も控えている」
「単独の施策で考えるのではなくトータルで経済活性化を達成していくべきだろう」
・・・・・(以下 日本経済新聞記事から)・・・・・・
・2021年8月の横浜市長選挙で初当選した山中竹春市長は、市が進めていたカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を撤回して注目された。現在は新型コロナウイルス対策を優先せざるを得ないが、IRに代わる経済活性化策や市財政の健全化など中長期的な課題は山積している。今後の市政運営方針を聞いた。
――2021年の市政を振り返り、力を入れた政策は。
・「就任直後の9月に『新型コロナ感染症対策加速化プラン』を打ち出し、接種率アップに取り組んだ。若い世代への接種を促す『ワクチンplusキャンペーン』も横浜商工会議所、市商店街総連合会と連携して展開している。11月初めには2回目の接種率8割を超すことができた」
・「第6波に備えてコロナ専門病院を12月に開院し、自宅療養者の見守り体制の充実にも取り組んでいる。市内の観光・飲食店支援も実施した。今後は3回目の接種を着実に進め、感染症対策の強化と経済回復の両立を最優先に取り組む」
――IRに代わる経済振興策は。
・「市内経済の活性化には、総合力を上げる必要があると考えている。子育て・教育や医療、介護、福祉の充実は生産年齢人口の確保につながる。企業誘致やオープンイノベーションの推進も重要だ。観光MICE戦略は10年後の姿を見据えて策定しようとしており、山下ふ頭再開発も控えている。単独の施策で考えるのではなくトータルで経済活性化を達成していくべきだろう」
――将来の市の財政健全化に向けて何をしますか。
・「22年度予算の編成に合わせて、財政ビジョンの策定を進めている。市債の活用や借入金残高の縮小についての方針などを明らかにしていく。歳出改革につながる行政運営ビジョンも新たに策定する。市長選で掲げた公約は多く、優先順位をつけながら取り組む」
――行政のデジタル化はどう進めますか。
・「まだ十分ではない。まず市民が便利だと感じることが重要。スマホですべての手続きができるように、オンライン化を進める。デジタル化を進めればビッグデータの活用も期待できる」
・「例えば待機児童・保留児童について、これまでよく分からないことがあった。それならデータを取ろうと12月にタスクフォースを設置した。保留児童の詳細なニーズをデータで明らかにしていく。データ活用の意識を職員に根付かせ、課題解決に取り組む」
――脱炭素政策を推進する姿勢を示しています。
・「50年までの脱炭素化に向けて、市民、事業者の行動変容を後押しする施策を実施する。家庭や企業に応じた目標の設定も必要だ。今年は30年までに実施する取り組みを目標設定とともに計画としてまとめる」
・「横浜には多くの研究開発機関や企業が集積し、日本の脱炭素イノベーションを推進するポテンシャルがある。21年はENEOSと水素サプライチェーンの構築に向けた協定を結んだ。大企業との連携を進めるとともに、中小企業が脱炭素化に対応して新たなビジネスチャンスをつかめるよう支援していきたい」
問われる財源と公約の整合性
・横浜市の試算によると、市の財政は少子高齢化が進む2065年度には2000億円超の収支不足に陥ると推計される。財政健全化は喫緊の課題だ。
・税収増、地域経済の活性化に貢献すると言われたIR誘致は撤回となった。一方で、山中市長が看板政策として掲げた「75歳以上の敬老パスの自己負担ゼロ」「子供の医療費ゼロ」「出産費用ゼロ」の「3つのゼロ」や、中学校給食の全員実施については多額の歳出が伴う。
現時点では具体的な財源は明示されていない。財政再建と政策実現をどう両立させるのか、整合性のある形で提示できるかが問われる。
(二村俊太郎)