＜トピックス＞神奈川県内企業の社長分析（2019年） 帝国データバンク調査から
平均年齢60.5歳、過去最高を更新
～業種別では「製造業」の平均年齢が62.9歳で最も高い～
はじめに
・日本で“高齢化”が叫ばれるようになって久しい。「平成30年版高齢社会白書」（内閣府）によると、65歳以上の高齢者人口は3515万人で、2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になることが推計されている。高齢化による様々な影響が懸念されているが、企業においても経営者の平均年齢は年々上昇傾向で推移しており、円滑な事業承継が求められている。
調査結果（要旨）
1 業種別に社長の平均年齢を見ると、「製造業」が62.9歳と最も高かった
2 年商規模別に社長の平均年齢を見ると、「1億円未満」が61.7歳と最も高い。また、すべての年商規模において、調査を開始した1990年当時の平均年齢53.5歳に比べ約6歳上がっている
3 出身大学別に社長数を比較すると、1位「日本大学」（1613人）、2位「東海大学」（718人）、3位「慶應義塾大学」（686人）、4位「関東学院大学」（607人）
4 出身地別に社長数を比較すると、首位は「神奈川県」の2万7266人。次いで「東京都」の4608人で、多数上位6位までの順位は前年と同じだった
（内容）
１．業種別： 業種別に社長の平均年齢を見ると、最も高かったのは製造業の62.9 歳だった。次いで、卸売業の61.7 歳、不動産業の61.3 歳が続く。年代の分布を見ると、製造業は 60 歳以上の社長構成比が61.5％ を占め、不動産業は80 歳以上の社長構成比が他業種に比べて高いことが平均年齢を引き上げている。
２．年商規模別： 年商規模別の平均年齢を見ると、「1億円未満」の61.7 歳が最も高く、「50 億～100億円未満」の59.9歳がこれに続いた。年代の分布を見ると、概ね年商規模が大きいほど60 代の社長が多く、小さいほど70 代や80 歳以上の社長が多い傾向。平均年齢の推移を見ても、「500億円以上1000 億円未満」が1990 年当時と比べ2 歳若返っているものの、「1 億円未満」は 9.4 歳高齢化しており、事業承継の遅れや若者 の起業の減少などから、小規模企業の社長の平均年齢が上がり続けている様子がうかがえる。
３．出身大学別： 出身大学別に社長数を比較すると、1 位「日本大学」（1613人）、2 位「東海大学」（718人）、3 位「慶應義塾大学」（686人）、4 位「関東学院大学」（607人）。前年調査時点と比べ日本大学は50 人減、慶應義塾大学も35 人減り、一人増えた東海大学と順位が入れ替わった。4 位の関東学院大学も5 人増えている。多数上位校 10 校の中で社長数が前年比増加したのは、東海大と関東学院大の2 校のみで、8 校は減少に転じている。
４．出身地別： 出身地別に社長数を比較すると、トップは「神奈川県」の 2 万 7266 人。次いで「東京都」の4608 人。 以下、「北海道」、「静岡県」、「福島県」、「新潟県」と続く多数上位6 位までの順位に変動はないが、「千葉県」が7 位に上がり、「鹿児島県」と順位が入れ替わった。
まとめ
・神奈川県内企業の社長の平均年齢は集計を開始した 1990 年の53.5 歳から一貫して上昇を続け、2016 年に60 歳を突破、2018 年は60.5 歳と過去最高を更新し、全国平均の59.7 歳を上回る。神奈川県は全国47 都道府県別では第10 位だが、3大都市圏（首都圏、中京圏、近畿圏）の中では平均年齢が最も高い。
・ 概ね年商規模が大きいほど60 代の社長が多く、小さいほど70 代や80 歳以上の社長が多い傾向が続いている。過去の推移を見ても、「500 億円以上1000億円未満」が1990 年当時と比べ2 歳若返っているものの、「1 億円未満」は 9.4 歳高齢化しており、事業承継の遅れや若者の起業の減少などから、小規模企業の社長の平均年齢が上がり続けている様子がうかがえる。国内経済のさらなる発展には、事業承継の支援策の拡充に加え、起業家の育成や支援を加速させ、新たな経済の担い手を創出することが重要となろう。
・帝国データバンク横浜支店は、2019年1月末時点の企業概要ファイル「COSMOS2」（約147万社収録）から企業（個人、非営利、公益法人等除く）の社長データを抽出。神奈川県内約5万社を、業種別、年商規模別のほか、社長の年齢、出身大学、出身地などの属性データを集計・分析した。[2019.2.1]
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/…/s190201_20.pdf