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<トピックス>神奈川県下メーンバンク調査(2017 年) 帝国データバンク調査から 横浜銀行が20.6%でトップ、6 年連続でシェアを拡大 ~ メガ離れ進み、横浜信金が三井住友銀を逆転 ~

<トピックス>神奈川県下メーンバンク調査(2017 年) 帝国データバンク調査から
横浜銀行が20.6%でトップ、6 年連続でシェアを拡大
~ メガ離れ進み、横浜信金が三井住友銀を逆転 ~

はじめに
・2017 年も引き続き、地方銀行の大型再編が相次いで発表された1 年だった。2 月には三重県を経営地盤とする第三銀行と三重銀行が経営統合を発表。3 月には近畿で関西アーバン銀行・近畿大阪銀行・みなと銀行の3 行が、4 月には北陸で第四銀行と北越銀行の2 行がそれぞれ経営統合することを発表した。
北海道拓殖銀行の経営破たん以降、金融機関同士の経営統合・再編は大手銀行が中心になって行われてきた。
・しかし、近年は日本銀行のマイナス金利政策による貸出金利低下や人口減少のほか、フィンテック等の技術革新を通じた異業種の金融分野進出による新たな金融競争の発生などにより、地域金融機関でも業界再編の必要性に迫られている。こうしたなかで急速に進展する地域金融機関同士の経営統合では、特に地域の中小企業に対する金融サービスへの影響も懸念され、企業と金融機関との関係性に変化が生じる可能性もある。

調査結果(要旨)
① 神奈川県下のメーンバンク第1 位(企業数)は8 年連続で「横浜銀行」。6 年連続でシェアを拡大し、同行をメーンバンクとする企業が全体の20.6%を占めた。次いで、それぞれシェアを縮小しながらも第2位に「三菱東京UFJ 銀行」、第3 位に「みずほ銀行」のメガバンク2 行が入り、前回とトップ3 の順位には変動がなかった。一方、調査開始以来、7 年連続で第5 位だった「横浜信用金庫」がシェアを拡大し「三井住友銀行」を逆転し、第4 位に浮上した。
② 県内企業の売上規模を6 つに分類し、メーンバンクを調べたところ、5 分類でトップは「横浜銀行」だった。売上高「50 億円以上」では「みずほ銀行」が24.4%のシェアを占めトップとなったが、第2 位の「横浜銀行」との差は縮小した。
③ 業種別トップは7 業種(建設、製造、卸売、小売、不動産、運輸・通信、サービス)全てで「横浜銀行」が占め、かつ、全業種でシェアを伸ばした。建設業は「横浜銀行」、「横浜信用金庫」、「川崎信用金庫」の県内3 行が上位を独占した。
④ 業態別は、第2 地銀では「八千代銀行」、信用組合では「相愛信用組合」が高いシェアを保つ。

まとめ
・「横浜信用金庫」が「三井住友銀行」のシェアを逆転するなど、今回調査では2010 年の調査開始から続いていた都市銀行のシェア低下と地元金融機関のシェア拡大の傾向がより鮮明となった。神奈川県に本店を置く金融機関のシェアは横浜銀行の20.6%を筆頭に合計で50.3%に達し、初めて過半数となった。
・しかし、シェアを伸ばした県内金融機関も将来的な人口や預金の減少、企業の後継者不足による休廃業の増加など人口減少や高齢化による預貸率低下、マイナス金利下における収益力の低下など、経営環境は厳しさを増しており、過度な金利競争から脱却する新たなビジネスモデルへの転換が急がれる。
・このような状況下、TDB が実施した調査では、金融競争の厳しい地域では企業の平均借入金利が全国平均を下回る一方、金融競争が比較的穏やかな東北各県では平均借入金利が全国平均より高い傾向もみられ 、金融庁が主導する地方銀行を中心とした金融再編は、地域金融機関の将来的な生き残りに向けた経営策の一つと言えよう。
・一方、公正取引委員会では地域金融機関の再編・統合について“借り手”である需要者の立場重視を打ち出すなど、企業結合審査においては再編・統合に伴う独占の利益に対して厳しい見方を示している。既に、一部の地域金融機関の経営統合が金融サービスの「地域の寡占」に当たりかねないとして公取委の審査が長期化するケースも見られる。
・金融庁は、従来の信用保証・担保依存から「事業性評価」に基づく融資姿勢の転換や、企業の経営支援を重視する「金融仲介機能のベンチマーク」の利用を金融機関へ積極的に呼び掛けてきた。こうしたなか、2017 年5 月に同庁が実施した企業向けアンケートでは、経営上の課題をよく聞いてくれる地銀ほど、利回りの低下幅が緩やかとなる傾向が明らかとなった。今後も、「地域密着型金融(リレーションシップバンキング)」の深化が金融機
関に対して一層求められるなかで、こうした取引企業のニーズに応えられない金融機関は「メーンバンク」としての選択肢から外されていく可能性が高い。

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/…/s171201_20.pdf