<トピックス>神奈川県「後継者不在率」動向調査(2023年) 後継者「不在率」、過去最低の63.6% [帝国データバンク調査から] ~ 事業承継「内部昇格」が増加、「脱ファミリー」化が加速 ~
<トピックス>神奈川県「後継者不在率」動向調査(2023年)
後継者「不在率」、過去最低の63.6% [帝国データバンク調査から]
~ 事業承継「内部昇格」が増加、「脱ファミリー」化が加速 ~
◎はじめに
・地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多い。
・日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち60%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が約3割に迫る。
・県内の後継者不在率は改善傾向にあるが、全国平均を上回る状態が続いており、引き続き官民一体となった「後継者問題への啓蒙」とサポートが欠かせない。
・帝国データバンク横浜支店は、信用調査報告書ファイル「CCR」(190万社収録)など自社データベースをもとに、2021年10月-23年10月の期間を対象に、事業承継の実態について分析可能な約1万3050社(神奈川県・全業種)における後継者の決定状況と事業承継動向について分析を行った
◎調査結果
1 後継者不在率は前年比2.6pt低下の63.6%で過去最低となった。但し、全国平均(53.9%)を9.7pt上回る
2 70代の不在率は前年比4.5pt低下の37.9%、60代の不在率も同4.4pt低下し50.1%
3 事業承継動向をみると、「内部昇格」による承継が40.5%で、「同族承継」(26.9%)を13.6pt上回り、「脱ファミリー」化が加速
4 後継者候補についても「非同族」の割合が増加
◎まとめ
・2023 年の神奈川県内企業の後継者不在率は 63.6% となり、6 年連続で低下。
・ここへきて「内部昇格」に よる事業承継の割合が高まる一方、「同族承継」の割合が低下、事業承継は「脱ファミリー」の動きが加速 している。
・この間、コロナ前から官民一体となって推し進めてきた事業承継の重要性が中小企業にも浸透・ 波及してきたことに加え、M&Aの普及や事業承継税制の改良・拡大、金融機関主導の事業承継ファンドなど、多種多様なニーズに対応可能なメニューが揃ってきたことが後継者問題の解消に多大な役割を果たした。
・もっとも、現状においては神奈川県の後継者不在率は全国で6番目に高く、全国平均(53.9%)を9.7pt上回っているほか、倒産全体が増加傾向を辿るなかで県内企業の『後継者難倒産』は2023年1-10月で33 件発生、10カ月累計としては過去最多を記録している。
・今回の調査では2018年以降、後継者不在の状態が続いている企業が4割を超えることも判明しており、なかなか事業承継が進まない企業が一定数存在している状況も改めて浮き彫りとなった。
・引き続き、国や自治体による事業承継への働きかけにより企業の後継者問題に対する意識の一層の高まりと拡大によって、後継者不在率が低下することに期待したい。