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<トピックス>[展望2023]横浜銀行・片岡頭取インタビュー ~ソリューションビジネスの強化を目指す~ [日本経済新聞記事:2023年1月11日紙面より]
<トピックス>[展望2023]横浜銀行・片岡頭取インタビュー
~ソリューションビジネスの強化を目指す~
[日本経済新聞記事:2023年1月11日紙面より]
・長引く新型コロナウイルス禍に加え、円安・物価高など企業を取り巻く環境は厳しさを増している。
・コロナ関連融資の返済も始まり、地方銀行はこれまでの資金繰り支援から、顧客の本業支援へシフトを急ぐ。
日銀の金融緩和政策の修正もあり、金融市場の先行きは見通しづらい。
地域経済をどうもり立てるか、横浜銀行の片岡達也頭取に聞いた。
・・・・・・・・(以下、日本経済新聞記事より)・・・・・・・・
――日銀が長期金利の変動許容幅を0.5%程度に引き上げると発表しました。地域経済への影響をどうみますか。
「正直に驚いた。実質利上げと捉えている。設備投資を控える動きや、住宅ローンの伸びが弱くなることも想定される。一方で、円安が止まったことで物価上昇が弱まれば、企業収益や個人消費にはプラスの面もある。どれくらいのスピード感で金融引き締めに向かうかわからないので注視が必要だ。顧客もいまは困惑の声が多い」
「当行の経営への影響は足元では限定的だ。固定金利の新規貸し出しにはプラスになるが、いまは変動金利での貸し出しの割合が大きい。より金融引き締めが進み、短期金利も上がれば、資金利益へのプラス効果は大きくはなる。ただ、企業の資金需要が減退する可能性もある」
――新型コロナの感染拡大から3年がたとうとしています。
「2022年は新型コロナの影響で業績が大きく悪化した顧客はほとんどなかった。コロナ関連融資は、当行の貸出先のおよそ半数で返済が始まっているが、(返済期間などの)条件変更の申し出は貸出先のうち4%程度と多くない。3カ月に1回ほど貸出先の状況を確認している。追加の資金手当てや事業転換のアドバイスも積極的にしている」
――22年は円安、物価高が進行しました。
「価格転嫁できている企業とできない企業が二分している。資金繰りだけでなく、為替ヘッジや供給ルートの変更の提案などで支援している」
――顧客の課題を解決する「ソリューションビジネス」に注力した成果は。
「本店ソリューション営業部が主に管轄しているが、22年からは支店でも案件の獲得が増えてきた。各地の企業の課題を支店が見つけ、ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)などを用いて解決する。目指す姿の下地ができてきた」
「大企業にはメガバンクや証券会社が様々な資金調達の仕方を提案している。中堅の上場企業や中小企業であれば、当行が提案できる余地がまだまだある。新たなビジネスを一緒につくっていくことにも積極的に取り組んでいる。海外経済の減速懸念がある今こそ個々の企業の多様な課題に一つ一つ向き合う必要がある」
記者の目 海外経済の減速懸念、本業支援が急務
・日銀が想定外の大規模な金融緩和政策の修正に踏み切り、円安にブレーキがかかった。ただ、ウクライナ情勢は先行きが見通せず、資源高、物価高も継続するか不透明なままだ。欧米や中国の景気減速も懸念材料だ。
・長らく貸出金利回りの低迷に悩まされてきた地銀にとって、金利が上昇に向かえば収益改善につながるが、企業の投資意欲が低下すれば貸出金自体が伸び悩む。単なる資金繰りだけでなく、個々の企業に応じたきめ細かな本業の支援、事業転換や新事業創出への支援がより重要となっている。(二村俊太郎)