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<トピックス>【2020年度の神奈川県内経済見通し~リーマン・ショックを上回るマイナス成長に~】[浜銀総合研究所調査から(2020年7月15日)]

<トピックス>【2020年度の神奈川県内経済見通し~リーマン・ショックを上回るマイナス成長に~】[浜銀総合研究所調査から(2020年7月15日)]

[要約]
1.2020年前半の神奈川県経済は新型コロナの感染拡大の影響で大幅に悪化した。2月下旬に政府が新型コロナの対策基本方針を発表し、学校の休校などが要請されると、人々の感染防止に対する意識が急速に強まり、慎重な消費行動をとることになった。また、企業に対して在宅勤務の拡大などが要請され、企業活動が制約を受けることになった。加えて、海外における感染拡大の影響で輸出が落ち込んだこともあり、県内景気は急速に後退色を強めた。新年度に入ると、4月7日に政府が緊急事態宣言を発令し、県内でも百貨店などの商業施設やレジャー施設が臨時休業した。企業に対しては出勤者の最低7割減などが求められ、企業活動が大きく制限されたことから、県内景気は大幅に悪化した。
2.県内の経済指標をみると、緊急事態宣言下の4~5月の指標が急激に悪化した。家計部門では、外出自粛や商業施設などの休業により個人消費が大幅に減少した。企業部門では、先行して感染の拡大していた中国向け輸出に続いて、米国やアセアン向け輸出が落ち込んだ。国内外の需要急減や出勤7割減要請を受けて製造業の生産活動も縮小した。新型コロナの終息が見通せず、世界経済の先行き不透明感が強まったことで、企業の設備投資マインドも冷え込んだ。商業施設や飲食店などの休業や、製造業の生産休止などにより、労働需要は減少し、県内の雇用情勢は悪化した。残業代や賞与の減少により所得情勢も悪化し始めている。
3.2020年度の神奈川県の実質成長率は大幅なマイナスになると見込む。4~5月の県内経済は緊急事態宣言の影響で大幅に経済活動が縮小した。6月に入り、経済活動が正常化に向けて動き出したものの、感染の再拡大を防ぎながらの活動再開になっており、新型コロナ感染前の経済活動の水準を取り戻していない。6月以降の県内経済は、緊急事態宣言下の4~5月に比べると改善するものの、この先は企業業績悪化の影響なども顕在化してくることから、回復に向けた動きは鈍くなるだろう。2020年度の実質県内成長率は▲(マイナス)9%程度になると予測した。家計、企業部門ともに需要が大きく減少し、リーマン・ショック後(2009年度、▲7.4%)を上回る落ち込みになると見込んだ。