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<トピックス>【時代の風 横浜の企業が取り組むシステム】 「人を大切にする会社」「SDGs企業」「ホワイト企業」が進める社員を守り、経営者を守り、企業を発展させる「内部通報システム『完全匿名ヘルプライン』」 ~神奈川新聞で紹介された今を生きる企業に大切なこと~
<トピックス>【時代の風 横浜の企業が取り組むシステム】 「人を大切にする会社」「SDGs企業」「ホワイト企業」が進める社員を守り、経営者を守り、企業を発展させる「内部通報システム『完全匿名ヘルプライン』」
~神奈川新聞で紹介された今を生きる企業に大切なこと~
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神奈川新聞(2020.11.18)掲載記事より
◇匿名性と本気度が鍵
▣埋もれるパワハラ被害
▪企業の内部通報制度が機能せず、ハラスメント被害が埋もれてしまう事例が後を絶たない。今年6月に施行された通称7「パワハラ防止法」を受け、企業は相談体制の拡充を急ぐ。横浜市内のある企業でパワハラ事案が発覚した経緯をたどり、制度の在り方を探った。
・「加害者は全幅の信頼を置く『右腕』でした」
・掃除代行業などを営み、70人余りの従業員を率いる男性社長(50)はそう話す。半年ほど前に通報者の匿名性保護をうたうシステムを導入したところ、ナンバー2の取締役によるパワハラ事案が芋づる式に出てきたという。
・社長にはおもねる一方で部下には横柄な態度を見せ、面倒な仕事は現場に丸投げして成果を横取りするー。露呈したのは、そんな「発覚しづらいが根の深い問題」(社長)だった。
・このまま不満が噴き出し、組織が空中分解しかねない。危機感を強めた社長が自ら聞き取りを進めた結果、取締役が涙を流して加害を認めたため、職場を剥奪するに至った。
・会社はシステム導入前から社内に相談窓口を設けていたものの、役割を果たさなかった。被害社員の一人は後に、「社長が取締役を守ると思って言い出せなかった」と明かした。
・「社員は実名が出てしまった場合の『報復』を恐れていた」。そう受け止めた社長は、自戒を込めて言う。「振り返れば問題の予兆はあったものの、向き合いきれなかった。内部通報のおかげで会社は生まれ変われたと思う」
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・厚生労働省が2016年に実施したパワハラの実態調査によれば、相談窓口を設置している企業は7割を超えたが、過去3年間に被害を受けた人の4割以上が「何もしなかった」と回答した。主な理由は「何をしても解決にならない」「職務上不利益が生じる」だった。
・「企業の本気度と匿名性の保護。成否の鍵はこの2点につきる」
・内部通報システム「完全匿名ヘルプライン」を手掛けるリンクファシリテイーズ(横浜市中区)の瀬戸佳代表取締役(48)は、そう強調する。
・多くの実例を見てきた瀬戸氏の目には、一部の企業が内部通報制度を意図的に形骸化させていると映る。
・その目的は、社員は、社員が制度を使いづらくする一方、パワハラの被害者から訴訟を起こされた際などに「窓口に相談してもらえば対応できたのに」と主張するためだという。
・実際、ある企業は匿名性があいまいな社内イントラネットに窓口を設け、通報に二の足を踏ませて件数を抑制している。瀬戸氏は「ハラスメント事案がゼロの企業は限られる。通報が少なすぎるのは正常とは言えない」と指摘する。
・ハラスメントは加害者の認識が希薄なケースもあり、早期に目を摘めば最悪の事態も避けられる。「いまだに『通報行為は悪』と捉える経営者もいるが、内部通報は企業を発展させるためのポジティブなもの」と瀬戸氏は言う。
・コンプライアンス(法令遵守)違反に厳しい視線が注がれる中、内部通報制度を「仏つくって魂入れず」に陥らせないために、企業の姿勢が問われている。
☞パワハラ防止義務
2020年6月に施行された通称「パワハラ防止法」は、大企業に対して相談窓口の設置やプライバシーの保護、相談への適正な対処などを義務付けた。中小企業についても努力義務を課し、22年4月に義務化する。罰則規定はないが、違反企業にたいしては行政が改善を求め、従わなければ企業名を公表する場合もある。