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<トピックス>【「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査】 [東京商工リサーチ調査から(2020.10.20:公開)] ~ 「転業意向」2割超、コロナ禍で副業可能、解禁はわずか2.5% ~
<トピックス>【「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査】 [東京商工リサーチ調査から(2020.10.20:公開)]
~ 「転業意向」2割超、コロナ禍で副業可能、解禁はわずか2.5% ~
◇調査結果のポイント◇
・中小企業の9月の「減収企業率」は80.2%、6カ月連続で8割超
・中小企業の「廃業検討率」は8.6%、前回調査より0.2ポイント改善
・新型コロナで副業可能、解禁は、わずか2.5%にとどまる
・最低賃金の引き上げ、賛成35.8%、反対25.9%、どちらでもない38.2% ・コロナ禍での転業、「考えている」が20.8%
・2020年9月の売上高が前年同月(2019年9月)を割り込んだ中小企業は80.2%だった。前月より0.9ポイント改善したが、4月以降、6カ月連続で80%を超える異常事態が続いている。
・こうした状況から、中小企業の資金繰り支援策の利用率は57.9%と6割に迫った。前月より2.6ポイント増加し、資金繰り支援でコロナ禍をしのいでいる実態が改めて浮き彫りとなった。
・最低賃金引き上げは、「賛成」が35.8%、「反対」が25.9%、「どちらでもない」が38.2%で、 意見が大きく割れた。反対理由の最多は、「企業損益の悪化につながる」で79.5%だった。
・同業他社と対応が異なる場合、採用難や人材流出に繋がる恐れもあり、企業は難しい決断を迫られている。業績悪化で、一時金(賞与)の削減が広がっているが、「新型コロナで副業が可能になった」企業は2.5%にとどまり、副業解禁はまだ一部にとどまり道半ばだ。
・また、新型コロナウイルスの収束が長引いた場合、廃業を検討する可能性のある中小企業は 8.6%で、前回調査(8月28日~9月8日)から0.2ポイント改善した。ここにきて「Go To トラベル」や「Go To イート」など、経済活動の再始動に向けた取り組みが動き出した。今後、消費喚起キャンペーンがどこまで効果を上げるか注目される。
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・中小企業の「減収企業率」は、5月の88.0%をピークに次第に改善している。しかし、9月も 80.2%(前月比0.9ポイント改善)で、4月以降、6カ月連続の80%超えとなった。
・東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースで、新型コロナ以前の2019年3月期の業績は、 増収「5」:減収「4」:横這い「1」の割合だっただけに、深刻な業績不振を際立たせている。
・10月1日から「Go To トラベル」に東京都発着の旅行も対象になり、消費喚起に向けた取り組 みが本格化している。今回の調査では、こうした施策が企業業績や景況感に繋がっているかは、 まだ読み取ることは難しい。感染者数の動向と併せ、こうした施策効果の反映は次回以降の調 査を待つ必要があるだろう。
・コロナの収束が長引いた場合の廃業検討の可能性(廃業検討率)については、8.6%が「あ る」と回答し、前回調査から0.2ポイント改善にとどまった。このうち、44.2%は時期を「1年 以内」と回答している。今年1-8月の「休廃業・解散」は3万5,816件で、このペースで推移すると年間5万件を突破する可能性が大きい。
・2000年に調査を開始以降、「休廃業・解散」の最多は2018年の4万6,724件だったが、2020年はこれを大幅に上回るペースをたどっている。今後、減収企業率や廃業検討率に大きな改善がない場合、「大廃業時代」が現実味を帯びてくるかもしれない。
・コロナ禍を契機にした「業種・業態の転換」(以下、転業)についても、2割を超える企業が「考えている」と回答した。このうち、約4割は転業にかかわる費用を「1000万円以上」と見込んでいる。現在の新型コロナウイルスに関連した資金繰り支援は、緊急避難的な「今を乗り切る」ことに重点を置き、下支え効果をみせている。今後は新しい生活様式・ニューノーマル下でも、持続可能性を高める投資などへの支援が求められる。
・また、コロナ禍で副業を可能とした企業は2.5%と、ごく少数にとどまっていることが今回の調査で明らかになった。人事評価や制度上、年度途中での副業解禁に踏み切りにくい側面や、企業業績との兼ね合いもあり、先行きを評価するのは早計だろう。ただ、業績悪化に伴う可処分所得の低下は、日常の支出や耐久消費財への消費マインドが落ち込み、景気全体を冷やしかねない。生活様式の多様性に対応するためにも、副業の扱いが注目される。