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[特別コラム:第8回]『第8回 障がい者を戦力にする!<教育・訓練>』

[特別コラム:第8回]
『第8回 障がい者を戦力にする!<教育・訓練>』

1. 教育・訓練は必要
・前回は、「合理的配慮」によって、障がい者が働きやすくなることで、単体での労働生産性を上げるという取組みの例をご紹介しました。
・ただ、障がい者だからと言って、教育・訓練が無意味であるとか、必要でないということはありません。重度の知的障がい者であっても成長しますし、個人差はありますが、訓練すれば一定の技術を習得します。
・また、障がい者には、単純作業が任されることが多いですが、教育・訓練なしに対応できる仕事とは限りません。いくら単純作業と言っても、ある程度の慣れや技能は必要ですし、習熟すれば、初心者よりも労働生産性は高くなります。また、仕事をする上での最低限のマナーや約束事は身に着けてもらわねばなりません。

2. 考え方の多様性
・ただ、障がい者の教育・訓練については、多様な考え方があります。
障がいがあるがままの状態を受け入れ、特に教育・訓練をしなくてもよいのではないかという考え方もありますし、かなり厳しいともいえる訓練を課し、一般就労に耐えるスキルを身につけさせようとする考え方もあります。
・言うまでもなく、障がいの特性はさまざまで、長時間の訓練や一定の環境に耐えられない場合も少なくありません。本当に効果的な教育・訓練を行うのであれば、障がいの特性や程度に対応した訓練プログラムを開発する必要があるかもしれませんが、多様性に富む障がいに対応するプログラムを個別に開発するのは大変です。
・その中で頑張っているのが、一般社団法人ペガサスです。ペガサスでは、精神障がい者・発達障がい者に的を絞って就労移行支援事業を行っています。精神障がい者・発達障がい者に絞ると言っても、知的障がいや身体障がいに比べて、多様性に富み、訓練においてもそれを考慮に入れる必要がありますが、専用の訓練プログラムを開発し、効果的な事業を展開しています。

*ペガサスの事業については以下に出ています。
http://pegasus-job.com/enterprises/

3.職人に育てる
・横浜市金沢区にある株式会社羽後鍍金(うごめっき)は、社員20名のうち1/3が知的障がい者です。社名にもありますが、メッキの会社です。
メッキの作業過程においては、薬品の温度も高くなり、危険な作業もありますが、障がい者を一流の職人に育てています。2名で作業を行う場合も、障がい者がメインの作業を行い、社長がサブの作業を行うほどのスキルを持ちます。
・れほどの力量を持つのであれば、立派な戦力です。実際、日本経済が低成長を迎えて以降、多くのメッキ会社が会社をたたむ中、羽後鍍金はずっと業績もよく、事業を継続してきています。

*羽後鍍金については、横浜産業新聞に記事が掲載されています。
http://www.hamabiz.jp/content/view/1943/32/

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授  影山 摩子弥