お役立ち情報詳細


[特別コラム:第19回]『第19回 障がい者雇用が生む経営改善効果<役割分担効果>』

12809608_1132284740129278_2074236718264284433_n

[特別コラム:第19回]
『第19回 障がい者雇用が生む経営改善効果<役割分担効果>』

1. マッチングと適材適所
・障がい者にとって障がい特性や個性、自分の志向に合った仕事に就くことは、技能を高めたり、やりがいを得やすくしたりする効果があります。それゆえ、障がい者を戦力にする要因にもなったのです。
・しかし、健常者とてマッチングは必要です。適性や志向に合わない仕事をしていれば、生産性も上がりませんし、やりがいも得にくくなります。
このような観点から、障がい者社員と健常者社員の適材適所によって、相乗効果を生んだのが、株式会社三越伊勢丹ソレイユです。

2.障がい者が健常者の仕事を支える
・三越伊勢丹ソレイユは、社名からわかるように、有名なデパートの特例子会社です。デパートでは、社員である販売員が、接客の合間に、写真にあるようなギフト用リボンを作ったり、大量の伝票にスタンプを押したり、といった作業をおこなってきました。
・しかし、このようなリボンを作ったりする作業は単調で、疲れてきてしまい、だんだん形よく作ることができなくなります。しかも、疲れてしまう中で、いい接客ができません。
・そこで、単調な作業を続けることができる知的障がい者にリボンの作成やスタンプ押しなどをまかせます。そうすると、同じクオリティのリボンが作り続けられる一方で、販売員は接客に専念することができるようになりました。よい役割分担関係が形成されたのです。     (写真:三越伊勢丹ソレイユHPより)

*三越伊勢丹ソレイユの取組みについては、以下がくわしいです。
http://www.imhds.co.jp/csr/2011/special/csr_special02.html

3.バニーフーズでも効果が
・同様の効果は、第7回に登場した鎌倉のお弁当屋、バニーフーズでも見られます。お弁当屋ですから、お弁当に入れるキャベツを大量に刻む作業があります。いかに修行してきたとはいえ、疲れる作業です。その作業を知的障がい者が行うことによって、健常者社員は、接客やメニューの考案、作業手順の組立てなどに注力することができるようになります。

4.取組みの意義
・役割分担効果の意義は、健常者ではよい仕事ができなかったり、生産性が落ちてしまったりする作業を障がい者に任せることによって、効率よく質の高い仕事をしてもらうことができるという、組織内ミクロ労働生産性に基づいた取組みに加え、健常者社員がよい仕事ができるようになるという、組織内マクロ労働生産性改善効果の両方が成立している点になります。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授  影山 摩子弥