お役立ち情報詳細


[特別コラム:第14回]『第14回 障がい者雇用が生む経営改善効果<仕事がしやすくなる>』

[特別コラム:第14回]
『第14回 障がい者雇用が生む経営改善効果<仕事がしやすくなる>』

1.障がい者雇用のシナジー効果とは?
・前回までは、障がい者にそれなりに働いてもらい、戦力にするという話でした。その中で、戦力にするためのポイントを4つ(合理的配慮、教育・訓練、マッチング、付加価値戦略)ご紹介しました。
・今回からは、障がい者の労働生産性を上げるという課題ではなく、障がい者を雇用することによって、健常者社員の労働生産性が上がり、業績に影響を与えるというお話です。
・影響には2種類あり、障がい者社員が健常者社員に直接影響を与える場合もあれば、会社側の取り組みなどを通して間接的に与える場合もあります。いずれの場合も、障がい者の労働生産性が全く変わらなかったとしても、会社全体の労働生産性を押し上げ、業績にまで影響を与える可能性があるのです。第3回に、組織内マクロ労働生産性のお話をしましたが、それです。

2.合理的配慮が職場を変える
・障がい者を受け入れるために、合理的配慮を行ったり、仕事を切り出すために見直しを行ったりすると、健常者社員にとっても仕事がしやすくなることがあります。
・例えば、合理的配慮によって、障がい者が移動しやすいように銅銭が確保されたり、書類の場所が分かり易くなったりすれば、健常者社員にとっても移動しやすかったり、書類等を見つけやすくなるはずです。それまで、勘で書類を探したり、時間をかけて探していたりした書類がすぐに出てくれば、それだけで効率がよくなります。

3.業務の再設計が進む
・また、仕事の見直しや切り出しも、健常者に影響を与えます。
・特に健常者を雇用する場合は、仕事に人を合わせようとします。それなりに稼働している業務の流れを変えると、業務がうまく回らなくなるなど、様々な問題が生ずる可能性がありますので、通常はあまり手を入れないはずです。新人を雇用しても、健常者であれば、できるようになって当たり前と考えがちです。業務の流れなどの設計が悪くても、健常者の能力にあぐらをかいているのです。
・しかし、障がい者に対してそうはいきません。できなくて当たり前です。わかりやすく仕事を組みなおしたりして、作業しやすいものにする必要があります。障がい者に業務全体の中の一部を担当してもらう場合、全体もそれなりに見直しが行われることもあります。そのように再設計した業務は、健常者にとっても分かり易かったり、遂行しやすかったりするため、効率も上がる可能性があります。

4.改善活動につながる
・健常者社員が障がい者社員の働きやすさに気をかけるようになり、アイデアを出すようになると、職場は、健常者にとってもさらに作業しやすくなるかもしれません。仕事にかかわる改善活動にもつながるのです。
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学教授  影山 摩子弥