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[永続企業へのヒント:この一冊] ~月尾嘉男『100年先を読む―永続への転換戦略』モラロジー研究所2011年~
[永続企業へのヒント:この一冊]
~月尾嘉男『100年先を読む―永続への転換戦略』モラロジー研究所2011年~
・著者の月尾嘉男氏は、昭和17年生まれ。東京大学工学部卒業。工学博士。名古屋大学工学部教授、東京大学工学部教授、総務省総務審議官等を経て、平成15年、東京大学名誉教授これまでコンピュータ・グラフィックス、人口知能、仮想現実、メディア政策等を研究。著書に『装置としての都市』(鹿島出版会)、『縮小文明の展望』(東京大学出版会)、『地球の救い方』(遊行社)ほか。
内容紹介
・止まらぬ環境破壊、迫りくる食糧危機、薄れゆく伝統文化……。先の見えないこの21世紀の荒波に、我々がとるべき針路とは? 東京大学名誉教授で、メディア政策・システム工学を専門とする著者が、環境・文化・歴史・経済等、様々な視点から、永続への新文明論を解き明かす。
目次
第1章 開発から回復へ
第2章 拡大から縮小へ
第3章 画一から多様へ
第4章 物質満足から精神満足へ
第5章 震災を越えて
おわりに
主な視点
・歴史を回顧すると、既存の社会が大転換をした時期が幾度か存在する。西欧社会では、古代ローマ帝国崩壊やアメリカ大陸の発見。日本では徳川幕府の全国平定、明治維新。物事は渦中にあると実感しにくいが、現在は巨大な潮流の変化の最中と認識すべき。
・松尾芭蕉が俳諧の本質として唱えた理念に「不易流行」がある。永遠不変である不易と随時変化する流行という、一見相反する概念が一体となることを意味する。
・本書において著者は、「開発から回復へ」「拡大から縮小へ」「画一から多様へ」「物質満足から精神満足へ」を各章のキーフレーズに、膨大な資料を検証しながら日本が危機的状況から脱出するための転換戦略を提示する。
・たとえば、一般的に、縮小という言葉は敬遠され、拡大という言葉が歓迎されます。しかし、人類が有限の地球に生存する限り、無限の増大を達成できないことは自明であり、人類はいずれ縮小の方向に転換しなければならない、と著者は説く。「社会のあらゆる分野について、金銭を尺度とした効率でしか判断してこなかった人類がもたらした、環境問題や社会問題を解決するためには、新たな尺度が必要である」と。そこで新たな世界基準として提唱するのが日本古来の縮小文化。
・茶道の神髄とは茶碗一杯の抹茶に宇宙を感得することであり、盆栽が目指すところも一本の小樹に宇宙を表現すること。俳句もわずか17字で森羅万象を表現する簡素な芸術の極致です。物質として縮小していけばいくほど精神が拡大していくのが日本伝統の縮小文化であり、これこそが地球の限界に到達した人類の突破口となる、と著者は説く。
・「我々の足元には宝物が転がっている。ただ依然として、西欧文明の根底にある進歩史観を信奉するあまり、気づかずにいるだけ」と著者は言います。同書は、日本の未来に単に警鐘を鳴らすだけではなく、どうすれば日本という国家・国民が失った自信や誇りを奪回できるかについても明解に示してくれる。
・特に第2章 拡大から縮小へで、「永続する老舗に秘訣」をとりあげ、なぜ日本に老舗が集中するのかの問いには、老舗には家訓や遺訓などが伝承されているが、それらに集約される経営理念の成果と指摘している。また永続企業の共通理念として三種「顧客本位」「切磋琢磨」「不易流行」にまとめ、現在の企業にとって十分に参考になる経営理念である。
出版社からのコメント
ラジオやテレビでもコメンテーターとして活躍する著者が、わかりやすい語り口で、自然環境、人口と資源、情報と経済、そして我が国の伝統の行く末はについて、未来世代へと希望をつなぐために、今を生きる我々がとるべき “再生の針路”を探ります。
永続的成長企業ネットワーク
代表理事     吉田正博
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