お役立ち情報詳細


[永続企業へのヒント:この一冊] ~日本経済新聞社編『200年企業Ⅱ』日本経済新聞出版社2012年~ ~日本経済新聞社編『200年企業Ⅲ』日本経済新聞出版社2013年~
[永続企業へのヒント:この一冊]
~日本経済新聞社編『200年企業Ⅱ』日本経済新聞出版社2012年~
~日本経済新聞社編『200年企業Ⅲ』日本経済新聞出版社2013年~
・本書は、日本経済新聞紙上で2008年4月「200年企業―成長と持続の条件」と題して連載され再構成した、第2弾、第3弾である。
・『200年企業』Ⅰ~Ⅲは、どうすれば企業は「永続」でき、株主や社員に報い続けられるのか。社会的な存在として、顧客や地域社会に対する責任を果たし続けるには、どうしたらいいのか。企業経営をめぐるこの大きなテーマに迫ろうと連載がはじめられた。創業からおおむね200年以上たった企業を訪ね、なぜ長い歴史を生き抜いてくることができたのかという点に焦点をあて、それぞれの「会社永続の知恵」を掘下げている。
・『200年企業Ⅱ』では、老舗の取材を重ねて分かるのは、企業が生き永らえるための要素は実に多様ということ。時代の変化に合わせて事業のスクラップ・アンド・ビルドを進めたり、生産、販売や原材料の調達方法を柔軟に変えたりするイノベーション力は欠かせない。コストや利益率など計数をもとにした厳格な経営管理も必須といえる。
・同時に、近江商人が「世間よし」と言ってきたように、地域や社会と共に歩む姿勢も日本の老舗の特色だ。家訓や家憲をみると、江戸時代に二宮尊徳や石田梅岩が説いた勤勉などの道徳的規律をバックボーンにしている会社は多い。二宮尊徳は「経済のない道徳は労多くして功なし」(経済のない道徳は寝言)という一方、「道徳のなき経済は永遠の道おぼつかなし」(道徳のない経済は犯罪に近い)と論したとされ、倫理の重視も日本の老舗経営を貫いている。
・「200年企業」は利益を追求しながら社会性も大事にするという、2つの軸を持ったダイナミックな経営に取り組んできたといえるだろう。
・『200年企業Ⅱ』各章の企業事例は次のとおり。
第1章 唯一・希少・弧塁を守る (5社)
第2章 不屈・復権・再起の物語 (5社)
第3章 文化を守り、地域と共に歩む (5社)
第4章 製法・素材・一品にこだわる (8社)
第5章 多角化、リスク分散の知恵 (6社)
第6章 代替わり、人材戦略で新風 (4社)
第7章 伝統は変化の積み重ね、不断に挑戦 (11社)
第8章 伝統重視、されど新し (5社)
第9章 顧客・消費者目線忘れず、時代に乗る (6社)
第10章 質実、愚直さと信用を貫く (8社)
・『200年企業Ⅲ』では、グローバル競争が厳しい中、企業の競争力の源泉は何といっても、ほかにない製品やサービスを世の中に送り出したり、顧客から支持される新しいビジネスモデルを生みだしたりするイノベーション力だ。宅配便や、米国生まれながら日本で進化させたコンビニエンスストアは、日本発のイノベーションの代表例だ。そうした革新力が、衰えていないだろうか。
・実は日本は、こつこつとイノベーションを重ねてきた企業が多数集まる国だ。長い歴史を持つ老舗企業は経営環境が大きく変わるたびに、それに対応しようと製品や事業モデルをつくり変え、逆境を乗り越えてきた。ひとくちにイノベーションといっても広い。生産方法の刷新、新市場への進出、調達方法の革新、組織の再構築など、企業を新たな成長軌道に乗せる手立てはどれもみなイノベーションといえる。環境変化に対応して、そうした手を一つ一つ打ってきたからこそ、老舗企業は長い歴史を刻んでくることができたといえるであろう。
・『200年企業Ⅲ』各章の企業事例は次のとおり。
第1章 希少・弧塁を守る (5社)
第2章 不屈・復権・再起の物語 (4社)
第3章 文化を守り、地域と共に歩む (6社)
第4章 製法・素材・一品にこだわる (7社)
第5章 伝統は変化の積み重ね、不断に挑戦 (11社)
第6章 伝統重視、されど新し (6社)
第7章 顧客・消費者目線忘れず、時代に乗る (5社)
第8章 海外にも目を向け (6社)
第9章 発想転換で生き抜く (7社)
第10章 需要開拓に終わりなし (5社)
・度重なる試練を創意工夫と実行力でくぐり抜けてきた老舗企業のイノベーション力を、本書から読み取って頂きたいという編者のいう通りであろう。
永続的成長企業ネットワーク
代表理事     吉田正博
358365381_649771653858294_492662788880262666_n