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[コラム:企業永続の法則Q&A]第17回『Win-Win関係の危なさ』

[コラム:企業永続の法則Q&A]第17回『Win-Win関係の危なさ』

・地域から企業のあり方を考える時、忘れてはならない大切な視点がある。
・コンサルタントを含め企業経営に関わる人たちは、企業を取巻くステークホルダー(利害関係者)に対し、Win-Win関係の構築を図り、企業と顧客、企業と取引先、企業と従業員、企業と株主など、一対一の関係で、お互いに良くなっていこうという考えを示す。
・Win-Winの関係は経営上確かに重要である。しかし、これで充分とはいえない。何かが欠落している。
・特定のステークホルダーとのWin-Win関係に重点を置いた経営を追求していくと、実はWin-Win関係の外にいるステークホルダーに悪影響を及ぼすことがある。
・米国のある大手スーパーマーケットチェーンは、CSRを積極的に実施している企業として有名だったが、それは株価(企業価値)を上げるために行われており、経営方針も株主とのWin-Win関係を最も重視したものだった。
・企業の経営方針によって、売り上げを上げるため消費者には安価な商品・製品を提供する一方で、従業員の賃金・給料は低水準に抑えられていた。
・また、そのスーパーマーケットが立地する地域の個人商店は、競争に耐えられず軒並み駆逐されてしまった。
・その企業の経営方針は、株主がメリットを享受できる一方で、地域社会という観点から見ると、非常に悪い影響を及ぼしている面があったのだ。
・わが国でも、大資本のスーパーを核とするショッピングモールが地方・郊外に立地すると、地場の昔ながらの商店が淘汰され、ショッピングモールのみが地域の消費をリードする、ということがよく問題になっている。
・地域での商店や商店街を衰退させた大手のスーパーは、採算が合わなくなる(つまり企業価値が下がる)と、地域とは関係なく自社の都合で撤退する。
・そうなった際の消費者や地域への悪影響は計り知れない。このように大企業と株主とのWin-Win関係は、それ以外の関係性において問題を孕んでいる。
・世間には「ブラック企業」と称される会社がある。消費者に安価なサービスや商品・製品を提供する一方で、従業員を酷使したり、労働環境が劣悪だったり、仕入れ業者など取引先には過度な値引きを要求したりする。
・こうした例は、結局直接的な利害関係であるWin-Win関係のみに目がいっている状態で、その外に対する配慮が全く欠けている。
・地域の繁栄を視野に入れた企業、事業活動は、Win-Win関係ではなく、All-Win関係の構築が最も重要となる。
・本書で提唱する「All-Win」関係とは、地域社会を土台として、すべてのステークホルダー(企業、顧客、取引先、従業員、株主、行政・関係団体、金融機関、地域住民等)がともに発展していくという考えである。

『企業永続の法則―地域と結びついた企業は潰れない!』177頁参照

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