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[コラム:企業永続の法則Q&A]第15回『日本的経営に立ち返れ』

[コラム:企業永続の法則Q&A]第15回『日本的経営に立ち返れ』

・バブル崩壊後、失われた20年といわれた時期、日本の企業はグローバル競争の名のもと、強欲資本主義に追随し日本の従来からの良さを失ってきている。
・企業が永続するには、もう一度日本的経営に立ち戻る必要があるのではないか。聖徳太子以来「和」の精神は我が国において、最も基本となるものである。社長以下、働く仲間とともに危機を乗り越え、成長・進化している精神の裏打ちとなり長寿・永続企業がつくられていくのだ。
・私は、働く仲間である従業員とともに、経営を闘い抜くには、「終身雇用」という日本的慣行は必要不可欠であると考えている。もし、終身雇用でなければ、職場の同僚は隣で働く仲間という意識が希薄となる。職場の仲間が次々と変わる職場を想像すればすぐわかる。会社に対する愛着も忠誠心も薄くなる。また、企業の重要技術も人の移動で外部(外国やライバル企業など)に流出していく。
・「終身雇用」を実施している地域永続企業では、人の一生を大切にする経営をしている。つまり、実質的に定年がない。一生涯をその仕事に振り向けるという決意がなければ、社員は将来技術・イノベーションを決して考えないと思う。また、企業も従業員・家族の生活を一生涯支える保証をしなければ、従業員の忠誠心・愛社心など出てくるわけがない。
・企業が永続するためには、従業員の一生を支える経営を行い、終身雇用を守ることが重要である。
・「終身雇用」とセットで考えなければならないのは、「年齢給」である。
・人の一生を大切にする、つまり従業員の一生涯を支える保証をすること。従業員みなが平等の条件で働けば、みなが平等ということで企業には上昇エネルギーが生まれる。同一労働、同一賃金という概念は格差社会を生まない。
・市場原理主義の下、「成果給」という手法が入ってきた。もちろん人には能力差はある。しかし、企業の永続を基本にすれば、企業は従業員の家族とともに一生を幸せに暮らすためにも存在している。個々人で給料の上下の競争、あるいは足の引っ張り合いで差を出すのではない。成果給を取り入れる場合は個人に出すものでなく、良い成果を上げたチームに出すものであると考えている。
・そして、地域永続企業にとって、重要な三つ目は「家族経営」である。社員・従業員は企業家族であり、社員教育は家庭教育における子どもの教育という視点がすでに長寿企業のなかには存在している。長寿企業でいう家族経営という言葉は、単に血縁ファミリーというだけではなく、長寿企業で働くすべての社員を家族として迎え入れるという前提から生まれている。欧米での労働観とは根本的に違っていると思う。
・家族経営には、身の丈経営ができる、身の丈経営に徹する企業規模が重要であるように思われる。
・いまこそ、地域に基盤をおく地域・中小企業は、グローバル企業とは異なる経営を進むべき時である。前回取り上げた五方良し「売り手よし、買い手よし、世間良し、地球良し、未来良し」で、日本再興を地域から始め、企業と地域の永続繁栄につなげよう。