第一回 自分を知ることの重要性
第二回 事業計画を作る意味 [今回]
第三回 組織について
・今回は、事業計画を作成することに意味があるのかという、若干刺激の強いテーマについてお話ししてみたいと思います。まずは、お伺いします。貴社は事業計画を作っていますか?また、その計画は誰が作っていますか?また、その作成動機は?
・事業計画作成の第一歩は、将来を予測することです。予測をするには、分析をする必要があります。経済環境、業界の動向、競合する会社の強みや弱み、はたまたお客様の反応や満足度と言ったところでしょうか。緻密に分析した結果、想定する5年後は予測通りに実現していますか?
・ここ最近の企業を取り巻く大きな環境変化を上げてみると、リーマンショック、東北大震災、近隣諸国との政治的摩擦、アベノミクスによる経済環境復調等がありますが、これら要素を事前に予測していたとしたならば、神の領域に踏み込んでいると言えましょう。裏を返すと、いくら分析したとしても予測と現実の一致は限りなく難しいことなのかもしれません。それでは、予測が難しいということを前提に考えた場合、事業計画は意味が無いのでしょうか?
・「備えあれば憂いなし」という格言があります。事業計画の意味は、“計画”そのものよりも、“計画”を作るための“プロセス”に意味があるのだと考えています。分析という過程において、情報が集められ検討しその結果として、意思決定に足る知見が集積する。仮に予期できなかった状況変化が発生したとしても、基本情報が参加メンバーの頭に入っているので、柔軟で適切な対応を可能にする。“考えた”ということが会社の資産となるのです。私の経験上、事業環境の変化により窮境に陥った企業には事業計画が無い場合が多いというのは、この理由によるものと思います。
・環境変化に適応し、事業を継続・成長させていくには、自社をよく理解したメンバーがビジネスチャンスに気づくことが不可欠です。そのチャンスをつかむには企業の自己発見に少しでも多くの従業員を巻き込む必要があります。
・経営計画を作るのは経営者の役目、経営計画を作るのは金融機関の要請によるものという考えは正しいとは言えません。
・合わせて、よくありがちな間違いは、計画書が出来上がったら一安心という状況です。特に、株主や金融機関からの要請が作成の動機であるという場合に多いのでは。
・企業活動はチームプレーです。チーム構成メンバーに、同じ情報(目標)が共有化され、進捗状況が意思決定部門にフィードバックされる仕組みが健全なチームです。計画で想定した事業環境は、必ずしも現実とは一致しない。その際に、計画作成のプロセスによって鍛えられた従業員が最大の武器となり、機動的に状況対応する。そんな組織を作りたいものです。
永続的成長企業ネットワーク 監事
日本ベストサポート㈱社長 森谷義博