[コラム:企業の未来を創るヒント]
第一回 自分を知ることの重要性[今回]
第二回 リーダーの役割について
第三回 組織について
・企業の未来を考え、実現のため変化していく過程を実感することは、経営者冥利につきると思います。
・一方で、足元が瓦解し事業活動を停止せざるを得ない企業もあることも事実です。直近の調査データ(図1)を見る限り、近年にない低水準の倒産件数になっているようです。その要因の主たるものに、金融円滑化法終了後も金融機関が継続的に支援(主にリスケジューリング)していることあげられます。金融機関担当者と意見交換している限りでは、その傾向も変わりつつあります。この環境変化に不安を感じる企業にとっては、早急に足元を固める必要があると考えます。
■何から着手すべきか
・「自分のことは自分が一番知っている」と多くの方は思っていますし、企業においては経営者の方も同じような気持ちをお持ちのことと思います。しかしながら、「聞く耳を持ち、事象を客観視すること」は、思う以上に難しいのでは。永続企業として輝き続けるためには、外部環境の変化に適応しながら自社商品やサービスを変えていくため、世の中・市場に耳を傾ける必要があると考えます。繊維老舗企業の東レが、繊維というコア要素をもとに、素材事業→環境・情報通信事業へと展開している事例があります。市場の変化の機微を察知し、既存領域・商品の価値を見極め、必要に応じ変化する。企業規模の差はあれど、共通することであると考えます。
・「外なる声」と同様に重要なのは「内なる声」、従業員の声です。商品について・労働環境について、はたまた社内人間関係についてなど、いろいろな情報が、フォーマル・インフォーマルに存在しています。しかしながら、能動的に吸い上げる努力なしには、トップまで届きにくいのが現実です。「はだかの王さま」になる事無き様、ご注意下さい。
・得られた情報が、都合の悪いもしくは意に沿わないものであったとしたら、みなさんはどう対応しますか?企業の方向を左右する情報かもしれません。個人的な思いは抜きにしてドライに情報を精査してください。これが意外に難しいことに思えます。
■気がついたら動き始めること
・習慣を変えることには苦痛が伴います。組織においても同様です。企業を変える業務をご一緒していると、ほとんどのケースで直面するのが「組織抵抗」です。この現象に対する特効薬は無いように思います。みんなで腹を割って話し合う、そして相手の腑に落ちるまで説明・議論することに尽きると考えます。そういった意味では、時間とパワーが必要な作業です。必要に駆られて始めた取り組みも途中でやめてしまっては、効果を出すには至りません。地道に取り組むことが望まれます(図2) (つづく)
永続的成長企業ネットワーク 監事
日本ベストサポート㈱社長 森谷義博