【特別コラム】『CSRのカギは、会社の実践構造(第5回)』
5.これが実践構造だ!
・ 図は、ある中小企業の実践構造です。実際に存在する企業のものです。
効果的CSRを実践する社員の行動は、「業務遂行力UP CSRの実践力UP」となっている部分です。
・矢印は、因果関係を示します。例えば、「業務遂行力UP CSRの実践力UP」のためには、「会社への求心力」や「職務満足」を上げることが必要で、その2つの要素を高めるには、「CSRの共感的理解」が大事、という読み方ができます。このような「つながり」が、CSRの実践構造です。
・前回、解説したように、このようなつながりは、会社によって異なります。つながりを構成する要素が違うこともありますし、要素が同じでも、相前後したりして、つながり方が違うこともあります。要素とつながり方の順番が同じであったとしても、つながり方の強さが違うことがあります。
・A社は、「CSRの共感的理解」のためには、「社員間のコミュニケーション」の方が重要だが、B社は、「社長とのコミュニケーション」の方が圧倒的に意味を持つ。他方、C社は、どちらも同じくらい、といった感じです。
・このような構造を把握すれば、限られた経営資源を効果的なCSRの自薦を導くために効率的に用いることができます。例えば、A社の場合、「CSRの共感的理解」のためには、「社員間のコミュニケーション」の方が重要でした。「実践構造」を把握していないと、社員間のコミュニケーションの大事さに気付かず、コミュニケーションを促進する取り組みをせず、社長と社員とのコミュニケーションに力を入れていたかもしれません。B社やC社の場合も、取り組みのミスマッチという点では同様のことが言えます。
・では、どうしたら、このような実践構造を把握することができるのでしょうか?
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学CSRセンター長
影山 摩子弥