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【企業永続へ:経営者に贈る言葉⑰] ~森光孝雄 ㈱八天堂代表取締役の言葉~
【企業永続へ:経営者に贈る言葉⑰]
~森光孝雄 ㈱八天堂代表取締役の言葉~
・森光孝雄氏は、株式会社 八天堂 代表取締役、昭和39年(1964)、広島県生まれ。千葉商科大学を中退して、21歳からパン職人として神戸の名店「フロインドリーブ」で修業する。平成3年(1991)、広島県三原市で「たかちゃんのぱん屋」を開店する。
・順調に売上を伸ばし、広島県内を中心に焼き立てのパン店を13店舗経営する。
しかし、無理な拡大によって、倒産危機に陥る。その危機を乗り越え、試行錯誤のすえに
新しいスイーツパン「くりーむパン」を開発する。
全国で1日に数万個売れる爆発的な人気を博し、国内だけでなく、海外でも展開している。
<森光孝雄氏の言葉>
・「人生今日がはじまり、ここから挑戦」(座右の銘)
・一時は「おれはずっと自分一人の力で生きてきた」という、とんでもない思い違いから、じぶんを過信し周囲を責め、廃業の危機を招いた。・
・頑張るほど人が離れていき、孤独を感じていた。
・「もう、自分はこの世にいないほうがいいのではないか」そう思い詰めた時期さえあった。私の未熟さがすべての原因だった。
・この人生の挫折、失敗から学んだ二つのこと。
→一つは「テイク&ギブ」。どん底を見て、自分がどれだけ社員やお客様、そして取引先の方々に支えられていたかを思い知った。自分はすでにたくさんのテイク(見返り)を受けていた、「先に受け取っていた」ことに気づいた。
・与えられているものに感謝し、恩返しの精神で事に当たる。そう心を定めると、目に映る景色が一変した。
→もう一つは「信条」。何のために経営しているのか。誰の笑顔のために頑張っているのか。・・・考えに考え抜いて、
「八天堂は社員のために
 お品はお客様のために
 利益は未来のために」
という三行からなる「信条」。
きれいごとではなく、「森光孝雄は常にこうあるために経営し続けます」という決意と行動を明文化した。
・八天堂という会社が何のために存在するのか、何のために組織され、自分たちが達成したいものは何か――。
→人の成長より事業の拡大を優先させれば、いつか必ず行き詰る――。
→倒産寸前のどん底から立ち上がる、やり直すとは単に事業の再挑戦という意味ではなく、人の役に立つ仕事、人を喜ばせる仕事ができる自分になれるよう、もう一度人生をやり直したい、そんな思い。
→「三方よし」自分がよくなるだけでなく、社員やお客様、お取引先など、事業にかかわるステークホルダー(利害関係者)全体が満足し、笑顔になることを目指す。
→利益は「未来のために」。
→時代の変化に対応できない企業は、生き残ることができない。つまり、未来を築くためには、適正な利益を得ることが絶対条件となる。その意味では利益があって初めて、社員よし、お客様より、取引先よし、そして未来よしを実現できる。
→健全な経営があってこそ企業は永続でき、企業は永続してこそステークホルダーに貢献でき「三方よし」を実現できる。
・ビジネスは信頼なくして成立しない。愛されない、応援されない企業は長続きできない。
・誰かの犠牲のうえに成り立つ事業は、いずれどこかに無理が生じ、結果「三方悪し」となる可能性がある。
→買ってくださる目の前の「お客様」のことだけでなく、仕入先、や取引先、外注先、協力業者といった“第三者”の利益にも配慮できているかを、考える習慣を社内に根付かせていかなければならない。
・三方よしの「世間よし」とは、広く考えれば、永続、繁栄、持続可能のこと。
→私はいつも何か新しい事業を始めるとき、相手にとって、自社にとって役立つかという視点に加え、“社会の役に立つか”を判断の基準にしている。
→すべての発想は、どのように八天堂が社会に役立たせていただけるかの視点から始まる。
・想いやビジョンは、経営者にしか語れません。
・八天堂に経営の目指すところは、会社は株主のためでも、経営者のためでもなく、公のために存在するもの。その一番の使命は「人づくり」だと考えます。
・人づくりをする手段として事業があり利益がある。
・長期にわたって価値を生み出すのは事業でなく人材です。
・人づくりとはつまり、“三方よしに生きる人間”をつくること。相手や社会から「貴方と出会えてよかった」と言っていただけるような人になること。
・人づくりとは平たく言えば、幸せづくり。
・よき人づくりをすることが実は、本当の意味での社会貢献ではないか。
→地域から頼られる人間をつくることや、地域の人々と一緒になって地域を支える人間を一人でも多く育てること。事業の目的はそこにあると痛感しています。
・(事業承継)人間はいつ死ぬかわかりません。経営者はその危機感を常に持って、経営に当たる必要がある。バトンタッチをしなければ経営は持続できません。イノベーションの発想力、独創力は若さから出てくるものであり、時代を変えるのは若者なのです。
・物事には必ず新陳代謝、進化と退化があるもの。社会には変化が生じます。変化はやはり若者がつくっていくわけで、イノベーションは若者にしか起こせません。
・何のために生きていくのか、何のために仕事をするのか。という人生上の問いは、経営理念にもつながる。
・吉田松陰「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし」
・結局は「やるか、やらないか」。行動こそ真実
・実行の中にこそ真実がある。実行こそ、その人の真実。
→天から与えられた使命――天命――に生きようと考え方が改まると、とるべき行動が変わってきます。行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わり、そして、人生が変わります。
・自分には天から与えられた使命があると思えば、その困難に“意味”が見出せます。どんな人との出会いもどんな困難も自分を成長させる糧だと思えたら、見える人生の景色が変わります。
・すべての出会いに感謝し、縁ある人の恩に報いて生きていこう。そう誓うことで視野が広がり、いい出会いがどんどんと広がっていきます。
・八天堂の三方よしの経営とは、感謝報恩の経営と言えるかもしれません。
・今この瞬間を、悔いのないよう全力で生きていれば、出会うべきときに、出会うべき人やものに必ず出会えると、私は信じています。
・事業にかかわる、すべての人々の幸せだけでなく、まだ見ぬ未来の子や孫の世代から「八天堂がこの世にあってよかった」と思ってもらえる、そんな「未来よし」の三方よし経営をめざして――。一度かぎりの人生をかけて挑戦していきます。
出所:森光孝雄『廃業の危機を味わって本気で取り組んだ 人を大切にする三方よし経営』モラロジー道徳教育財団2021年
(選:吉田正博)
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