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【企業永続へ:経営者に贈る言葉⑯] ~春山満氏(㈱ハンディネットワーク インターナショナル(HNI)創業者)の言葉~
【企業永続へ:経営者に贈る言葉⑯]
~春山満氏(㈱ハンディネットワーク インターナショナル(HNI)創業者)の言葉~
・春山満氏は1954年2月13日、兵庫県に生まれる。24歳で進行性筋ジストロフィーを発症し、数年の後に首から下の運動機能を喪失。1988年、全国初となる福祉のデパート「ハンディ・コープ」を開業し注目を集める。1991年、ハンディネットワーク インターナショナル(HNI)を設立して介護・医療のオリジナル商品開発・販売を始める。
・以降、幅広いネットワークと、体験を通した独自の視点と着眼で、大手医療法人の総合経営企画・コンサルティング、企業や自治体のプロジェクトに数多く参画。「医療をコアとした地域ゾーン開発」「医療と提携した地域複合サービス」をキーワードに医療の生き残り策を具現化する独自の経営企画手法は、全国の医療関係者から高い評価を得た。
・2003年には米国ビジネスウィーク誌にて『アジアの星 25人』に選出。2005年、オリックス不動産株式会社と共同出資のもと、高齢者住宅運営会社のオリックス・リビング株式会社(現グッドタイムリビング株式会社)を設立。公益財団法人国家基本問題研究所評議員、ハワイシニアライフ協会名誉理事を歴任。2014年2月23日、進行性筋ジストロフィーによる呼吸不全のため60歳で死去。
<春山満氏の言葉>
・徹底したリサーチに基づくデータの裏付け
→「私は情熱を持って仕事をしています」という人をよく見かける。しかし、その仕事は周りからどれほど必要とされていることなのだろうか。頭の中だけで考えているのでは、それはただの独りよがりに終わることがある。徹底的に情報を集めて客観的なデータの裏付けをとる。その上に情熱を持って働かなければ、結果はついてこないものなのだ。
・物を売ろうとするな、情報とハートを売れ
→お客さんへの対応において、「商品を売ろう」という姿勢で臨めば、関係はその場限りで終わってしまう。相手の相談にのるように、気持ちを持って情報を提供すれば、そこに信頼関係が生まれ、何度でもお客さんになってもらうことができるのだ。商品を勧めない勇気を持つ、それも販売員のサービスのうちの一つである。
・健全な利益があるから次がある、従業員を指揮できる
→ビジネスにおいて大切なのは継続していくことにある。だが、どんな崇高な理想を掲げても、それで続くのは三日だけ。自分の気持ちにしても、ついてきてくれる人にしても、挙げた成果に対する報酬がなければその場限りで終わってしまう。ただし、儲けすぎてもよくない。大きすぎる報酬は慢心、怠慢を呼び起こし、同じく先に繋がらない。
・徹底的に考え抜いた先にひらめきがある。
→なにもせず、犬も歩けば棒に当たる、といったようなひらめきはない。それはただの思い付つき。徹底的に情報を集め、繰り返し再検討をして、考え抜く。あらゆる手を尽くし、「もう駄目だ」と思っても、さらに限界と思える一歩先まで進む。すると、あるとき1ピース足りなかったジグソーパズルがはまるように、パッと浮かんでくるのがひらめきである。
・表面的な言葉に引きずられるな
→優しさ、お得、便利、エコロジー・・・。本質のない形ばかりの言葉やコピーに安易に頼ってはいけない。発想がそこでとまってしまい、その言葉以上の広がりがなくなる。むしろ、その言葉が商品・企画の持つ本来の価値とずれていると、誤った方向にビジネスを誘導してしまい、大きな失敗の原因になることもあるのだ。
・ロマンとソロバンを持て
→「お客様の笑顔が見られれば満足です」、こんなことが一週間もご飯を食べないで言えるだろうか? 自分でも使いたくないものを「これは使い勝手がいいですよ」と勧める、これではその人から二度と買い物をしてくれなくなるだろう。「働きがい」と「利益」、そのどちらかが欠けても仕事は継続しない。ビジネスではこの二つをバランスよく使っていくのが大切。
・本物のメッセージが人を動かす
→その商品に対する自分の思い、それが偽物であれば、どんな言葉を並べたところで相手には何も伝わらない。本当に心から惚れている商品、でも相手に遠慮しながらそれを勧めても相手はそれを理解できない。商品に惚れ込み、情熱を持って伝える、それこそが本物のメッセージであり、受け手の琴線に触れることで、人は自然と行動を起こすのだ。
・成功による慢心は失敗につながる
→成功が続いて人からは褒められるようになると、つい、心に緩みが生まれ、ミスが起こりがちになる。信頼はちょっとした失敗でも一晩で失墜する。失墜した信頼は3倍の労力をもってしても取り戻すのは難しい。成功したら恐れろ。次は滑るかもしれない。次は失敗するかもしれない。成功を恐れ、危機感を保つことが結果として持続につながる。
・「これは売れる」とみんなが言うものは売れない
→誰もが「これはいい」「これは売れる」と言うものがあるとすれば、なぜこれまでなかったのかを考える。これだけ物が溢れ日本において、万人が欲しがる商品はすでに存在しない。表面的に「いいかも」としか思えない商品だからこそ、口を揃えて褒めるだけ。本音に届く商品であれば、必ず反対する人は出てくるものなのだ。
・徹底的に真似て、学べ
→「真似」はオリジナリティがない、と悪いイメージを持たれがちだが、基本もなくいきなり新しいことを考え始めたところで絶対にうまくいかない。新たなものに取り組むときは、「門前の小僧習わぬ経を読む」の姿勢で、先ずは、自分の学びたいと思ったものを徹底的に真似ることを忘れてはいけない。回り道に見えて、結局はその世界を知る近道になるのだ。
・余力はまだある。条件次第で勝ちはある
→自分で考えている「限界」は、本当の限界ではない。自分でも気がついていないところにまだ余力が残されており、それを出し切れば勝ち抜くチャンスはいくらでもある。仕事をこなす上で、もう一度自分の許容量を確認し、その一つ上にチャレンジする。これは個人でも、チームでも、企業でも変わらないことである。
出所:春山満『生き抜く哲学 春山流、勝利のビジネスロジック』マガジンハウス2005年
(選:吉田正博)
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