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【企業永続へ:経営者に贈る言葉⑫] ~伊藤麻美氏の言葉~
【企業永続へ:経営者に贈る言葉⑫]
~伊藤麻美氏の言葉~
日本経済新聞記事から日本電鍍工業の伊藤麻美社長の参考になる言葉
日本電鍍工業はさいたま市に本社あるメッキ会社。年商7億円強、従業員73人の中小企業。
・100年、200年、300年と続く会社を目指し、そこからいま何をすべきかを常に考えている
・未来から今を考えるようになったのも、厳しい再建時の経験があるからだ
・コロナ禍でも何もしなければ会社の成長は止まる
・コロナでなくてもカーボンニュートラル(炭素中立)への対応など従来の延長線上に未来はないのは確か(東北大学石田秀輝名誉教授)
・・・・・・・・・(以下、日本経済新聞記事)・・・・・・・・・
コロナ禍の中小経営、未来からの思考に活路
点照 (2021年6月23日)
・新型コロナウイルス禍で先が読めないと嘆く中小企業も多いだろう。現在から将来を見ればそうかもしれないが、さいたま市のメッキ会社、日本電鍍工業の伊藤麻美社長は「100年、200年、300年と続く会社を目指し、そこからいま何をすべきかを常に考えている」と語る。将来あるべき姿から現在を振り返る思考法「バックキャスティング」といえる。
・年商7億円強、従業員73人の中小企業だが、地元経済界トップで伊藤社長を知らない人はまずいない。社長に就いた2000年、会社は10億円の負債を抱え、業績は赤字のどん底。創業者の一人娘だが、大学を出てラジオのパーソナリティーを務めたり宝石鑑定士の勉強のため米国留学したりと「経営は全くの素人だった」という伊藤社長が見事、再建を果たしたドラマがあるからだ。
・社長就任は32歳。創業者の父を23歳、実の母は20歳で亡くし、経営を助けてくれる親族はいなかった。実家が競売されかかり社内外で社長のなり手もなくなり、自ら買って出た。国内需要が減少する時計のメッキに事業が集中していたのを飛び込み営業などで様々な分野に広げ、6年がかりで経営を立て直した。
・未来から今を考えるようになったのも、厳しい再建時の経験があるからだ。再建を支えたベテラン社員の定年に合わせ、5~6年前に一斉に引退を促した。何度促しても若手に技能を継承しない「ネガティブな人材」が対象。同時に、社長就任時に部も課もないのに10人ほどいた部長と課長を、それぞれ1人にした。
・部長には30代を起用し、薬液で汚れ危険なメッキ場の更新を一任した。「若手に技能を教えないベテランと汚いメッキ場のままでは100年どころか20~30年しか持たないと思った」。部長は今年始めた新事業の設備導入を20代の社員に任せ、大胆な権限委譲が現場でも進む。
・「コロナ禍でも何もしなければ会社の成長は止まる」と新事業に投資する一方、だらだらデスクワークするのをやめようと総務3人以外は自身を含め椅子を廃止した。21年1月期は増収増益。バックキャスティングに詳しい東北大学の石田秀輝名誉教授は「コロナでなくてもカーボンニュートラル(炭素中立)への対応など従来の延長線上に未来はないのは確か」と語る。未来から今なすべきことを見つめる必要性が高まっている。(さいたま支局長 田中博文)