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【企業永続へ:経営者に贈る言葉③] ~黒川光博氏の言葉~

【企業永続へ:経営者に贈る言葉③]
~黒川光博氏の言葉~

・伝統をただ守るのではなく、和菓子を次世代に伝えるための革新にも挑戦してきた。
・(新型コロナウイルスの影響)こうした激変が100年に1度あるのなら、虎屋500年の歴史の中で4回ぐらい同様の経験をしているはずです。今回も一つの試練を与えられたととらえ、そこをくぐり抜けて学ぶものが必ずあると考えています。
・(コロナ禍の中で、大きな決断をした。新社長に長男で35歳の光晴氏を選ぶ)虎屋の歴史をみると、転換期に若い当主が活躍しているのです。・・・私は逆にこういう時だからこそ若い世代にやらせるべきだと決断しました。
・(2003年に東京・六本木に開店したトラヤカフェは「和菓子でも洋菓子でもない、虎屋が作る新しい菓子」をコンセプトにしました)虎屋が生き残る道を新業態で探る狙いです。
・和菓子はこれからも決してなくならない。
・(2018年に旗艦店の東京・赤坂店を建て替えた。ヒノキなどの木材をふんだんに使った地上4階の低層建築が好評だ) 今の時代、人々が求めているのは、やさしさやあたたかさなど人間の本質に根差したものに移ってきているのではないか。和菓子屋として必要なだけの大きさの建物の方が時代の流れなのかもしれない。
・今の時代は大きいものが必ずしもいいことではありません。本質的な豊かさや自然との調和が求められる時代にマッチできたと思っています。
・(2008年、虎屋は創業200年以上の歴史のある老舗企業だけが加入を許される国際組織エノキアン協会(本部ぱり)に加入した) 私が海外の経営者と話してわかったことは、規模の拡大よりも商品・サービスの質の向上やいいモノを作っていくことに関心をそそいでいたことでした。
・500年続く優良企業の虎屋には株式公開(上場)の誘いが繰り返し持ち込まれるが、ずっと断ってきた。
・とにかくお客様に満足して召し上がっていただきたいという思いで経営理念を社員と共有し愚直に追求してきました。
・ですから、外部の資本・株主を入れて会社が良くなるとは思えなかった。
・むしろ虎屋がこれまで大切にしてきた価値を失うことになるのではないかと思い、「上場はしない」と言い続けてきました。
・意識的に会社を大きくしようとか、売り上げ至上主義を掲げたことは一度もありません。
・規模とか収益といった数字的なものではない価値判断の方がいいのではないかと思うのです。
・歴史が長いからといって、それが今の我々を保証してくれるわけではないと思うのです。
・大切なのは「今」
・「お客様が求めていらっしゃるものは昨日とは違う」といつも言ってきました。
これからは気候変動への対応や、多様性(ダイバーシティ)といった問題に目配りしないと虎屋は取り残されてしまう。
・経営は新社長に任せます。30代の彼には、私のように年をとった者にはない勢いとか、スピード感、新しい知識や感覚がある。そういうものを虎屋の新しい推進力に変えていってほしいと願っています。

黒川光博氏は、「虎屋の羊かん」で知られる和菓子の老舗、虎屋(東京・港区)は創業が室町時代に遡る日本屈指の長寿企業、代々一族の1人が家業を継いでのれんをつないできた17代目。

出所:日本経済新聞(夕刊): 2020年9月28日~10月2日連載121552593_3692685434089183_4347187803024056341_n 121158189_3692686507422409_1983204741076022719_n121496067_3692685834089143_5940699024925300708_n