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《寄稿》<新年の挨拶>  『ネズミの力』

《寄稿》<新年の挨拶>
『ネズミの力』

永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授  斉藤毅憲

 明けまして おめでとう ございます

・令和2年です。元年は、生前退位による改元であり、なによりと思っています。しかし、自然災害が多発し、多くの人びとの生活基盤が被害をうけるとともに、ビジネスや働く場も影響を与えました。くわえて、アメリカと中国との対立に代表される国際的な政治環境が依然として不安定であり、これが経済や産業、さらに企業の活動に対してもマイナスの作用を及ぼしています。そして、令和2年の今年も、同じような環境がつづきそうです。
・今年は、東京オリンピックがあり、前半までは勢いがありそうで、好材料になることでしょう。しかし、終了後も勢いがつづくのか、若干心配になります。一時的な勢いに依存せずに、どのような状況にも対応できる企業内の整備が必要かと思っています。
・昨年はイノシシの年でしたが、今年はネズミの年です。エトの最初がネズミです。なぜネズミが最初なのか、私は無知で、その理由がわかりませんで、なにか理由があるはずです。そういえば、ネコはネズミの言葉を信じて、元旦に神様のところに行かず、2日に行ったので、エトからはずれてしまったという話を思い出しました。これが理由で、ネズミはネコのうらみを買い、ネコに追いかけられる破目になったといいます。
・ネズミはネコやイヌと同じように、人間の生活に近いところにいますが、人間との関係でいうと、あまり密着したものではなく、むしろ疎遠であり、あまり人間には好まれていない存在でしょう。
・ロシアの民話に、「おおきなカブ」というお話があります。人間3人でも畑から引き抜くことがむずかしい大きなカブを、ネコやイヌの力をも借りて引き抜こうとするが、やはりむずかしいのです。最後に力を借りることになるのがネズミで、ネコがお願いにネズミの住まいを訪問しています。
・さて、ネズミは協力することになるのですが、ネズミが協力すると、おおきなカブは引き抜くことができたのです。どうして引き抜くことができたのかは、どう解釈したらいいのか、不明です。
・3人とネコ、イヌの力で、かなり引き抜けるところまで、きていたので、ネズミの少しの力がくわわることで、引き抜くことができたと解釈できるかもしれません。あとちょっとの努力があれば成功できたのに、努力が足りなかったのでしょうか。これでいうと、皆様のビジネスでも、もう少しの努力、力の発揮があれば成功できることがあるかもしれません。
・もうひとつの解釈は、3人とネコ、イヌでは到底引き抜くことができなかったが、小さなネズミには思わぬほどの力があったので、引き抜くことができたというものです。これによると、ネズミは協力の願い(目標)をうけて、それにむけて大きな力を発揮したということです。そして、ネズミには、そのような能力があったということになります。
・ビジネスの世界は、冒頭で述べたように、”大変”な環境で、引き抜くことができない、つまり解決できない問題があります。このようなときには、大きなカブを引き抜いたネズミの力と同じようなものが必要になります。あなたの企業にも、そのような人材がきっといることでしょう。そして、人間とネコ、イヌ、そしてちょっと疎遠なネズミとの協働は、普通では考えられないことですが、実際のビジネスの世界でも必要なことでしょう。
・終わりになりますが、貴社の今年一年のご健闘を心から祈念しております。
2020(令和2)年 元旦

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