《寄稿》<新年にあたって> 『経営者へのメッセージ』
《寄稿》<新年にあたって>
『経営者へのメッセージ』
永続的成長企業ネットワーク 理事
横浜市立大学名誉教授 斉藤毅憲
明けまして おめでとう ございます。
新年を迎えることになりました。新型コロナの感染は、国内的にはかなりおさえられ、経済活動も少しづつ回復に向かう方向に進んでいます。第5波のときには、感染が多くなり、本当にどうなるのかで心配でした。オミクロン株が今後どうなるのか、という問題が現在はありますが、国内的にはワクチンの接種が80%をこえるレベルとなり、死亡者数も少なくなっており、重症化のリスクは大幅に減少していますから、徐々に人びとの移動と活動も広がることと思います。そして、この2年間ほどの自由の制限もなくなります。
コロナ禍で経営に大きなダメージをうけた人びとがいることを知っています。しかし、それほどダメージをうけず、一般には大変と思われるなかでも健闘している経営者もいます。同じ大変な状況にあっても、現実の経営の成果にちがいがあるのかもしれません。健闘している経営者はダメージをうけている経営者のいることを認識していますから、自分のところは”いいですよ”とは決していわないことでしょう。
ダメージをうけて、苦悩している経営者の皆様には、自分の企業から離れていった顧客や消費者にもう一度思いを寄せ、経営のあり方を問うことが大切と思っています。自社の経営がダメージをうけたのですから、どうしても自社中心の考え方になってしまうでしょう。お客さんが減って、売上高も利益もあがらないのですから、自社中心になっても当然だと思います。
しかし、自社中心の思考にこだわり、コロナ以前の経営にもどることだけを考えてしまうと、再生はむずかしくなるでしょう。経営としては、それは苦労がないのですが、再生を保証するとは考えられないところがあります。コロナ以前にもどることで再生ができればよいのですが、そうでないことを考えた経営の展開を試みることも大切です。
そのためには、コロナ禍でお客さんが自社から離れた理由を明らかにすべきです。お客さんとの関係がとくに”密”になりやすいところでは、客離れがひどかったと思いますが、それはお客さんのニーズが確実にあることも意味しています。”密”のために客離れ生じたものの、ニーズ自体は確実にありますから、お客さんへのアプロ―チを変えると離れたお客さんがもどってくると考えています。このアプローチの変更にはこれまでの経営を変えていくという側面があります。
苦境の経営にあるならば、このようなことに是非とも留意していただきたいと思っています。コロナ以前の経営をつづけても、うまくいくならば、それでもかまわないのですが、そうでないとすれば勇気をもって経営を変えていかなければなりません。お客さんのニーズ自体は確実にあるのですから、お客さんがもどってくるためのアプローチを是非とも考え、実践してほしいと願っています。
2022(令和4)年1月元旦